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白の少女は三人の男に愛される  作者: 有氏ゆず
第六話 少女は祈る
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6-7




「み、ミカゲさん……!?もっと強くって、大丈夫なん……!?」


まふゆはミカゲを心配そうな目で見つめる。しかし、彼は続ける。


「問題無い。時間が無いんだ……早くしろ」

「わ、分かった……!」


まふゆはミカゲの真剣な瞳を見て、こくりと頷いた。




「上級身体能力増強魔法、ルミナス・トランセンド!!」


恐怖で震える足を叱咤し、残っている魔力を振り絞る。彼女が今唱えたのは、身体能力を限界以上に引き上げる最上級の増強魔術。


彼女の詠唱に応え、今までで最も濃密な黒い光がミカゲの体に吸い込まれていく。


「────ッ!!」


ミカゲの全身が、まるで黒い稲妻に打たれたかのように激しく痙攣した。

彼の口から、苦痛とも歓喜ともつかない、くぐもった声が漏れる。


アルビノエルフの白魔術。それは影人にとって本来、致死性の猛毒。たとえ性質が変化したとしても、これほど強大な力を直接その身に受ければ、ただで済むはずがない。


ミカゲの身体は、限界を超えた力と、その力の源である猛毒に同時に苛まれていた。


だが、彼は倒れない。

彼の黒い瞳が、これまで誰も見たことがないほど鋭く、そして爛々と輝く。


その姿は、まるで闇そのものが意志を持ったかのように、絶対的なプレッシャーを放っていた。




「……これでいい」


彼は血の味がする口の端を歪めて笑うと、再び影に溶けた。


いや、溶けたのではない。彼の存在そのものが、影と一体化したのだ。

もはや、レオンハルトやセリウスですら、彼の気配を追うことはできない。


「ミカゲ!?無事なのか!?」


レオンハルトが叫ぶが、返事はない。


「まふゆ!なんて魔術をかけたんだ!あれは……ミカゲの体がもたないよ!」


セリウスが悲鳴に近い声を上げる。




しかし、その直後。


ゴーレムの動きが、ピタリと止まった。

あれほど暴れ狂っていた巨体が、まるで何を探しているかのように、きょろきょろと周囲を見回している。


ミカゲの気配が、完全に消滅したからだ。


そして、次の瞬間。

ゴーレムの胸部、紫色の光を放つコアクリスタルの真上にある影……天井の梁が作るわずかな闇の中から、黒い刃が音もなく突き出ていた。




「────終わりだ」




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