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「そ、そういえばやけど!」
まふゆは全員の視線から逃れるように、ぱっと顔を上げて声を張った。
「この後昇級試験やね!!」
気まずい空気を吹き飛ばすかのように、拳をぎゅっと握りしめる。
「うち、絶対Fランクになるから!」
その言葉に、全員の意識は、恋愛の駆け引きから目の前の現実へと引き戻された。
そうだ。今日の放課後は、入学後初めてのランク昇級試験が行われるのだ。
「はは、威勢がいいな。その意気だ、まふゆ」
レオンハルトは、まふゆの頭を撫でていた手を離し、力強く笑う。
「……まあ、Gランクのままじゃ、お小遣いも少なくてユキロンも買えないだろうしね。君が本気を出すなら、僕もサポートしてあげるよ」
セリウスはまだ少し拗ねたような口調だが、その瞳は真剣だ。
前回のパーティ戦での経験から、まふゆの支援魔術がどれほど強力か、彼は誰よりも理解していた。
ミカゲは、まふゆの言葉を聞くと静かに彼女を見つめた。
そして、短く、しかしはっきりと告げる。
「……当然だ。あんたは、俺の隣に立つ女だ」
その言葉には、Gランクのまま留まることなど許さない、という彼の絶対的な意志が込められていた。
彼の言う「隣」が、単なるランクの話ではないことを、その場の誰もが(まふゆ以外は)感じ取っていた。
「へえ。まふゆも昇級試験受けるんだ。……あんたはどうするの?」
「あ、あーしは……まだ無理かなと思って。今回は受けない、かなあ」
「ふうん、そうなの。あたしは個人で受けるけど、まふゆは?」
「えっと、うちは……」
試験は、パーティでの戦闘形式と個人での能力測定形式が選べる。
まふゆがFランクを目指すなら、彼女の支援能力を最大限に活かせるパーティ戦を選ぶのが最善だろう。
そして、そのパーティメンバーが誰になるのかは、言うまでもなかった。
「パーティで、に決まってるだろ?」
「そうだよ、まふゆは支援職なんだから個人じゃ無理だよ。僕らが一緒に受けてあげるから」
「……当然だ」
三人の男たちは、試験官に最高の連携を見せつけ、このアルビノエルフの価値を学園中に知らしめてやろうと、静かに闘志を燃やすのだった。




