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「ほな、みんなが教えてくれる?」
まふゆは、ぱしゃりと水飛沫を立てながら、三人の男たちを見上げて、にっこりと花が綻ぶように微笑んだ。
その笑顔には、泳げないことへの不安よりも、信頼する三人が助けてくれることへの純粋な期待がきらめいている。
水滴がまつ毛できらりと光り、濡れた白と桜色の水着が彼女の白い肌を眩しく引き立てていた。
その破壊力抜群の笑顔を向けられて、三人は大ダメージ(いや、むしろ大回復?)を受ける。
「……っ! あ、当たり前だ!溺れられたら迷惑だからな!ほら、まずはバタ足からだ。俺の言う通りにやってみろ」
彼は一瞬言葉に詰まり、慌てて腕を組んでそっぽを向く。だが、その口調とは裏腹に、耳は真っ赤に染まっていた。
「迷惑だから」というのは、彼の最大限の照れ隠しだ。彼はすぐにまふゆの隣のレーンに入ると、手本を見せるように力強く、しかし水飛沫が彼女にかからないよう配慮しながら、バタ足をし始めた。
「も、もちろん教えるけど……!みんなって、兄さんもまさかミカゲもやるっていうの!?……まあいいや。いいかい、まふゆ。まずは僕の手を掴んで」
セリウスは、少しむっとしながらも、まふゆに優しく手を差し伸べる。他の男たちに彼女を独占されたくないという対抗心が透けて見えた。
「そう。力を抜いて水に浮く感覚を覚えるんだ。怖がらなくていいから」
その手は少し震えていたが、彼女を支えたいという真剣な意志に満ちている。
「…………」
ミカゲは、相変わらず何も言わない。
だが、セリウスがまふゆの手を取ろうとした、その瞬間。
音もなく、まふゆの背後の水中に現れていたミカゲが、彼女の腰にそっと手を回し、安定するように支えた。その手つきは驚くほど自然で、まふゆが驚く暇も与えない。
「……溺れる。俺が支える」
水の中から、低く、しかしはっきりと響く声。
まふゆは腰に回された、意外にもしっかりとした腕の感触に「ひゃっ!?」と小さく声を上げる。いつの間に背後にいたのか、全く気配を感じなかった。
ミカゲはまふゆを支えたまま、レオンハルトとセリウスを無言で見つめる。
その黒い瞳は「教えるのはお前たちでいい。だが、こいつに触れて支えるのは俺の役目だ」と、雄弁に物語っていた。
こうして、三人の男たちによる、一人のアルビノエルフのための、非常に過保護で独占欲に満ちた水泳指導が始まったのであった。




