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教室は、様々な種族の新入生たちの期待と緊張が入り混じった、不思議な熱気に満ちていた。
窓際の席に座ったまふゆは、そっと窓の外に広がる美しい中庭を眺める。桜の国の景色とは違うけれど、まふゆの心をどこか懐かしい気持ちにさせてくれた。
教室の座席は決められたものだったが、自然と顔見知りが集まるものらしい。
まふゆの前の席にはレオンハルトが座り、早くも周りの生徒たちと種族の壁を越えて談笑している。そのリーダーシップは、彼が年上であること以上に、天性のものなのだろう。
彼の隣には、少し居心地悪そうにしながらも兄のそばを離れないセリウスがいる。彼は時折、ちらりとまふゆの方を見ては、すぐに視線を逸らしていた。
そして、まふゆのすぐ後ろの席。
そこには、柱の影にいた男……ミカゲが音もなく座っていた。彼は誰とも話さず、ただじっと前の席……まふゆの背中を、感情の読めない瞳で見つめている。その存在感の薄さは、意識しなければそこにいることすら忘れてしまいそうだ。
やがて、教室の扉がゆっくりと開き、一人の男性が入ってくる。
柔和な笑みを浮かべた、整った顔立ちの青年。彼がこのクラスの担任らしい。
「静粛に。……諸君、入学おめでとう。私がこのA組の担任を務める、エドウィン・ヴォルクシュタインだ。専門は古代魔術史と……まあ、色々とね。新任教師だけど一年間、よろしく頼むよ」
彼は優雅な仕草で教壇に立つと、クラス全体を見渡した。
そして、その視線がまふゆの上でぴたりと止まる。
「──おや。これはこれは……素晴らしい。まるで雪原に咲いた冬薔薇だ。君が、噂のアルビノエルフか」
彼の言葉に、教室中の視線がまふゆに集中する。
エドウィンの瞳は、他の生徒に向けるものとは明らかに違う、ねっとりとした光を帯びていた。それはまるで、希少な美術品を鑑定するような、あるいは熟れた果実を品定めするような……そんな執着の色を。
その粘つくような視線に気づいたのか、前の席のレオンハルトが少し眉をひそめ、隣のセリウスは不快そうに顔をしかめた。
後ろの席のミカゲからは、それまで消えていたはずの気配が、冷たい殺気となって微かに立ち上るのを感じた。




