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白の少女は三人の男に愛される  作者: 有氏ゆず
第四話 少女は取り残される
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4-6




セリウスは、人の流れが消えた廊下を一人、駆けていた。


「……まふゆ……どこ……!」


胸の奥が、嫌な音を立てて締め付けられる。

呼びかけても返事はない。足音だけが、やけに大きく耳に残った。


焦りが、思考を鈍らせていくのが分かる。

結界が破られたという異常事態。魔物が侵入している現実。

分かっているはずなのに、今のセリウスの頭の中には、まふゆの姿しかなかった。




「……っ!」


背後から、嫌な気配がした。


振り向くより早く、鈍い風切り音。

反射的に身を捻ったが、完全には避けきれない。

ガンッ、と衝撃が走り、壁に叩きつけられる。


「ぐっ……!」


視界の端で、紫色の瞳がぎらついた。

ゴブリン。しかも一体ではない。三体。

統率された動きで、じりじりと包囲してくる。


(しまった……!)


注意が、完全に逸れていた。

短剣に手を伸ばすが、体勢が悪い。次の一撃が来れば、間に合わない。


……その時だった。




「……っ、なにボサッとしてんの!」


鋭い声と同時に、獣の影が横から飛び込んできた。

ゴブリンの一体が、横殴りに吹き飛ばされる。

爪が閃き、もう一体の喉元を正確に裂いた。


「えっ……?」


呆然とするセリウスの前に立ったのは、桜のような薄ピンクの髪を持つ少女。

逆立った尻尾、低く構えた姿勢。獣人の少女、シャノンだった。


「チッ……ザコの癖にしつこい!!」


残る一体が襲いかかるが、シャノンは怯まない。

床を蹴り、回転しながら蹴りを叩き込む。

骨の折れる嫌な音がして、魔物はそのまま動かなくなった。




……静寂が訪れる。


セリウスは、遅れて息を吸った。


「……助かった……」

「あんた、そんな顔するほど余裕なかった訳?」


シャノンは腕を組み、呆れたようにため息をつく。

だが、その視線は一瞬だけ、セリウスの無事を確かめるように動いた。




「……!そうだ、まふゆを、まふゆを探さないと!」


突如、セリウスが思い出したかのように叫ぶ。


「はあ!?あんたみたいなのが探しに行ったところで返り討ちにされるだけ!今だってあたしに守られたじゃない!馬鹿じゃないの!?」

「でも、だけど!まふゆは戦えないんだ!早く行ってやらないと……!!」


セリウスの言葉に、シャノンは再度溜息をつく。


「……あんたじゃ無理。あたしが探しに行く」

「……!何を言ってるんだ!君は女の子だろう!?一人じゃ無茶だ!」

「それでもあんたが行くよりマシ!さっさと見つけてきてやるから離し────」




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