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白の少女は三人の男に愛される  作者: 有氏ゆず
第四話 少女は取り残される
44/71

4-5




レオンハルトは、息を切らしながら廊下を駆けていた。


「……くそっ、まふゆ……!」


生徒の流れを整理し終えた瞬間から、彼の頭の中はそれだけだった。

結界の軋む音、遠くの咆哮。嫌な予感が、胸の奥で膨れ上がっていく。


────いない。

どこにも、あの小さな背中が見えない。


歯を食いしばり、角を曲がったその時だった。




「……ひっ」


か細い、喉の奥で潰れたような声。


視線を向けた先、半壊した廊下の影で少女が壁に背をつけて蹲っていた。

浅黒い肌に、銀色の髪。ダークエルフの少女、リリアだった。


彼女の前には、二体のゴブリン。

歪んだ紫の瞳を爛々と光らせ、獲物をいたぶるようにじりじりと距離を詰めている。


「や……やだ……来ないで……。あーし、食べても、美味しくないし……」


リリアは震える腕で頭を抱え、ただ怯えることしかできずにいた。

魔力を感じない。この少女は、戦えない。




「……そこまでだ!」


レオンハルトは考えるより先に、地を蹴っていた。


剣が鞘から滑り出る音と同時に、彼は一体の前に割って入る。

振り下ろされた棍棒を、硬い金属音と共に弾き返す。


「下がれ!」


短く叫び、体勢を崩したゴブリンを一閃。

もう一体が背後から飛びかかってくるのを、反射的に蹴り飛ばす。


床に転がる魔物が呻く間に、レオンハルトはリリアの前に立った。


「大丈夫か!」


問いかけに、リリアは涙に滲んだ目で、ただ何度も頷く。

その小さな震えを背に感じながら、レオンハルトは剣を強く握り直した。




守る。

今は、目の前の命を。


まふゆを探す焦りを胸の奥に押し込み、彼は迫り来る魔物へと視線を鋭く向けた。





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