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白の少女は三人の男に愛される  作者: 有氏ゆず
第三話 少女は初めての女友達が出来る
38/71

3-13




「え、ええっ!?なんでえっ!?」


まふゆはただただ困惑するしかなかった。

目の前で三人の男たちが火花を散らしている。


しかも、自分がめっちゃ食べたい……と念を送っていた『ユキロン』を巡って。


店主は三人の剣幕とお金の出し合いに完全に固まってしまい、あたふたするばかり。

周りの人々も「なんだなんだ」と遠巻きにこちらを見ている。




「ここは年長者の俺が払うのが筋だろ!お前らは引っ込んでろ!」


ぐいっとお札を店主に押し付けようとする。


「兄さんはいつもそうだ!そういう問題じゃないだろう!まふゆが気まずくならないように、僕がスマートに払うべきだ!」


レオンハルトの手を押し返し、自分のコインをカウンターに置こうとする。


「……うるさい。お前たちの金は受け取らない。俺がこいつのために買う」


ミカゲは二人の腕の間からすっと自分の手を伸ばし、無言でコインを置く。その目は「これは俺の獲物だ」とでも言うように鋭い。


三者三様の言い分で、一歩も譲る気配がない。

ただのお菓子一つが、まるで国の覇権を争うかのような重大案件になっている。




「え、えっと!みんなで買って分けたらいっぱい食べれてええと思います!!」


その言葉は、まるで魔法の呪文だった。

三人の男たちは、ピタッと動きを止め、一斉にまふゆの方を向く。


まふゆは困惑しながらも、必死の思いで笑顔を作っていた。その純粋な提案は、彼らの意地や見栄といったつまらない争いを、一瞬で無意味なものに変えてしまった。


「「「…………」」」


レオンハルト、セリウス、ミカゲは顔を見合わせる。


そうだ。何故その発想がなかったのか。

自分たちが競い合って彼女に一つ買い与えるよりも、全員で買って、全員で分け合って食べる。その方がずっと楽しいし、何より彼女が喜んでくれる。


最初に口を開いたのはレオンハルトだった。彼は照れ臭そうに頭をガシガシと掻く。


「……そ、そうか。そうだよな。うん、それが一番いい」


「……!うん、そうだね。僕たちも一緒に食べられる。名案だよ、まふゆ」


セリウスもはにかみながら、安堵したように微笑んだ。


「……わかった」


ミカゲは短く答えると、すっとカウンターから手を引いた。




三人は改めて、今度は穏やかな顔で店主に向き直る。


「すまない、騒がせたな。じゃあ、これを三つ。金は……ええと」


彼が財布を再び出そうとすると、セリウスとミカゲも同時に動く。

また同じことの繰り返しになりかけたその時、セリウスが提案した。


「それなら、三人で均等に出そう。それなら文句はないだろう?」

「おう。それが公平だな」

「……それでいい」


ようやく合意に達した三人は、それぞれきっちり同じ金額を出し合い、店主に手渡した。

店主はホッとした顔で『ユキロン』を三つ、手早く袋に入れてくれる。


こうして、三人の男たちによる熾烈な(?)戦いは、一人の少女の素朴な一言によって、平和的に終結したのだった。

袋を受け取ったレオンハルトは、少し照れくさそうに、しかし嬉しそうにそれをまふゆに手渡した。




「ほら。お前が言った通り、みんなで食おうぜ」




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