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「攻撃力増強魔法、ストレングス!魔力増強魔法、スペルライズ!」
その後もまふゆは後方で支援を続ける。
彼女の詠唱に応じ、新たな二つの光が放たれる。鋭い輝きを放つ光はレオンハルトの大剣に吸い込まれ、刃が淡く輝きを増した。もう一つの深い蒼色の光はセリウスの身体を包み、彼の魔力が一段と高まるのを感じさせた。
「はは、こいつはすごい!力がみなぎってくるのがわかる!」
レオンハルトは軽く剣を振るい、その切れ味の増した感触に満足げな笑みを浮かべる。まふゆの支援があるだけで、普段の倍以上の力が出せそうだ。
「……僕の魔力に合わせて強化してくるなんて……。なんて無茶苦茶な魔術なんだ、君のは」
セリウスは驚きを隠せない。普通、他人の魔力を増強する魔法は非常に繊細で、術者との相性が悪ければ暴発しかねない。しかし、まふゆの魔法は彼の魔力に寄り添うように、完璧に調和していた。
(アルビノエルフの白魔術は、相手の性質に合わせて効果を変えると話には聞いていたが、これほどとはね)
彼は改めて、隣に立つ少女の持つ力の特異さを思い知る。
……その後も、彼らの進撃は続いた。
新たなゴブリンの群れが現れても、レオンハルトの強化された一撃が敵の陣形を崩し、セリウスの増強された魔術が残敵を正確に掃討する。ミカゲは常に周囲を警戒し、死角からの一匹も逃さず、音もなく仕留めていった。
そして、まふゆはただ後方から、仲間たちを信じて支援魔術を送り続ける。
恐怖で震えていたのが嘘のように、彼女の心は充実感と、仲間への信頼で満たされていた。自分の力が、みんなの役に立っている。その実感が、彼女に勇気を与えていた。
次々と現れる魔物を危なげなく倒していく彼らの姿は、他のどのパーティよりも際立っており、遠くから見ていた教官も「ほう…」と感心したように唸っていた。




