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壮麗なステンドグラスから光が差し込む大講堂。
新入生たちがずらりと並ぶ中、まふゆはその最後列に静かに立っていた。
アルビノエルフというエルフ族の中でも治癒術や支援に特化した希少な種族であるため、周囲からの視線が肌に刺さるように感じられる。好奇、羨望、そして僅かな侮蔑。様々な感情が渦巻く中で、まふゆはただ、俯きがちに式の終わりを待っていた。
壇上では、学園長である壮年のドワーフが長々とした祝辞を述べている。
その声も、今は遠くに聞こえるだけだった。
「……以上で、新入生への歓迎の言葉とする!新入生代表レオンハルト・アルヴァレイン、前へ!」
その声に、まふゆははっとして顔を上げた。
ぞろぞろと集まる視線の先、一人の青年が壇上へと向かって歩き出す。
深い赤色の髪、長身で堂々とした立ち姿。人間でありながら、他のどの種族にも見劣りしない強い意志を宿した瞳。
彼は壇上に立つと、落ち着いた声で新入生への答辞を読み上げ始めた。
「我々新入生一同は、この王立特異能力者統合学園の理念である『共存と調和』の精神を胸に、種族の違いを超え、互いを尊重し、共に学び、成長することをここに誓います」
彼の言葉は力強く、講堂に響き渡る。
その隣では、白銀の髪を持つ柔和な表情の青年が、兄を誇らしげに見守っていた。
また、少し離れた壁際には、音もなく一人の生徒が佇んでいる。黒い装束で目元以外を隠し、その存在はまるで影のようだ。誰の目にも留まっていないかのように、彼は静かにその場に溶け込んでいた。
そして、壇上の脇に立つ教師たちの中に、一人、柔和な笑みを浮かべながらも、鋭い視線を客席に──特に、まふゆに向けている男がいた。
新任教師のエドウィン・ヴォルクシュタイン。彼は表向き人間とされているが、その瞳の奥には得体のしれない光が宿っているように見えた。
……長い入学式が終わり、新入生たちはそれぞれの教室へ移動するように指示される。
ざわめきの中、まふゆはどう動けばいいのか分からず、ただ人の流れに戸惑っていた。




