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ヨツ沼のニヘエのはなし  作者: ぽすしち


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35/44

いつから


『 ―― いままでも情けをかけおったんではないわ。ヨツ沼で漁をして、よけいにとれた魚をもどさんと、《沼の神様》にとりつかれるんじゃ 』




 沼で古くから漁をするものたちが、みな馬鹿正直に魚をもどすのは、《沼の神様》が魚をかぞえていて、よけいにとった魚が百をこえると『かえせ』といってとりつくのを知っていたからだった。




『 そこからは、とれた魚もひもをひかれたように、《アシ沼》へさらわれたわ。食える魚もなくなったがなア、とりつかれておるせいか、腹がへらなくなりよった。そのうち喉もかわかんようになって、小屋のなかが『アシ沼』みてえに臭くなってな。からだもうごかんようになった。こりゃあ、こまったとおもうておったらなあ ―― 』



 じじいはここでまた、にたり、とわらった。



『 ―― あんたがようやっとあらわれて、『わしの代わりに』、魚をとってくれるゆうたわなア 』




    このボロ家で漁をすればええじゃろオ。

           ―― わしの代わりに魚をとってよオ



 



  ちがう!


 さけぼうとして、ここは水の中だとおもいだしたのといっしょに、息ができなかったのもおもいだし、とつぜん苦しくなる。

 

 上をめざして水をかいたつもりなのに、水が重たくて腕もうごかない。

  


  

 昆布のような蛙がゆれて、じじいの顔がついた背中がすぐそこに寄ってくる。



『 よおやっと、 わしの番 が終わったわ。 つぎは、 あんたが 代わって、《ニヘエ》になる番じゃ 』




 番?代わりってなんじゃ? 


     ニヘエはわしじゃ 

           

        わしは、 ニヘエ・・  いや、  おれは・・・・、

  





    おれは、いつからニヘエになった?





『 わしの 代わり をうけてくれたときから、あんたは《ニヘエ》じゃ。わしもこのヨツ沼で、前のニヘエから《代わり》をたのまれて、気づいたら《ニヘエ》になっておった。 あんたも動けんようになったら、つぎの《ニヘエ》にかわってもらえばええ。そしたらここへ、あんたもはいれる 』



 じじいがいうと、背についたほかの顔もいっせいにめをあけた。





    ニヘエじゃ  ニヘエじゃ  ニヘエか


        ニヘエじゃ   ニヘエじゃのオ





  気味の悪い顔たちの声がかさなり、


    気が遠のいてゆく《ニヘエ》を、わらっているかのようだった。

  

  

  








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