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ヨツ沼のニヘエのはなし  作者: ぽすしち


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河童ではなく

  


 死んだ大きな魚が浮かんでいるのかと思ったが、表面はうろこではなく、ぬめり、と月あかりにてらされている。


 沼からうきでたそれには、はなれてふたつ、丸いおおきなこぶがついている。

 そのこぶのような出っ張りがべつべつにうごくと、膜のような皮がひきさげられ、なかからあらわれた丸いおおきな眼玉が、ニヘエをみた。



「 ひっ・・・・ か・・・河童か?」


 だが、こちらを見ている目のついた、その平たいところが頭なら、皿のようなものはついていない。

 その目玉にしても、いやにはなれてついていて、なんだかかわずのようだった。



 水がゆれ、目から下がゆっくりあらわれたが、そのくちは横にひろくまっすぐに裂け、やはり、河童ではなく蛙のようだ。


 そのくちがにちゃりと音をたててひらき、ごろごろと猫がのどをならすような音のあとに、また、「 『 おいてけエ 』 」と男の声をだした。



「 なんじゃ、おまえは。 かわずのバケモンか。なアにが『おいてけ』じゃ。わしの網をとったじゃろう。網をかえせ」



「 『 おいてけエ 』 」



 蛙はただごろごろとからまったような声を横にひらいたくちからもらす。




「ただの蛙のばけものじゃおそろしくもなんともねえわ。 はよ網をかえせ」



「 『 おいてけエ 』 」



 沼のなかにいる蛙はただ、そのことばだけをくりかえす。



「 なんじゃ、蛙のばけものでも、大ガマとちがって毒をだすわでもねえし、しゃべるだけか」

 ここからみてもかなりの大きさだとはわかるが、なにかをしかけてくるようすもないので、《ニヘエ》は沼に背をむけて、もういちど魚のはいったビクをもちあげようとしたが、やはりすこしもうごかない。




「  『 よけいにとれた魚はな、まんなかの《アシ沼》へおいてこい 』  」




 小屋にいた年寄のこえがして、またおどろいてふりかえる。






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