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おいてけエ
・・・もういちど漁師小屋をのぞいて、網をとってくるか・・・
さきほどみてまわったときには、人がいるのかをみただけで、包丁や網などの道具があるかどうかなど、みていなかった。
この『アシ沼』は、たしかに四つの沼に囲われるようにあるのかもしれないが、いちばん近くにあるのは、四つ目の沼だろう。
あの沼のちかくの小屋へひきかえしてみるかとビクをもちあげようとしたのに、もちあがらない。
「な、なんじゃ?」
魚がはいっているとはいえ、これほど重いはずはない。
もういちどもちあげようとしたが、その水気のおおい土から籠が離れるのをいやがるようにもちあがらない。
「 『 おいてけエ 』 」
ふとい男の声が後ろからして、《ニヘエ》はおどろいてふりかえる。
沼に、なにかが浮いていた。




