おおいかず
たおれたアシの上をひきずり、沼から遠くはなしたところで網をすこしだけひらき数える。
「こりゃあ・・・えらいとれよったな」
三十はこえた数だろう。
腰からビクをとり、網ごといれようとしたが、さすがにはいらない。
しかたないので、ビクのくちを網へつっこんで、一匹ずつうつすことにした。
「よおし、これなら逃げんじゃろう」
うまくやったとつぎつぎと魚をうつしていたら、沼のほうから、ぼちゃんぼちゃん、と音がして、ふりかえってみたらビクの底から、魚がとぶように沼へ引き戻されている。
「なんじゃ!?底がぬけとる?」
あわてて手でふさいたが、ビクはころがって網からはずれ、こんどはくちのほうからとびだすようになる。
「まて、まて、もどれ、もどれ」
だが、魚は《ニヘエ》の頭の上をとんでゆく。
どうにか必死でかきあつめ六匹をもどすことができた。
ひきちぎった草でどうにか底をなおしたビクのなかに、十八匹もの魚がのこった。
『 魚はなア、ひとつの沼で四匹までじゃ 』
じいさんの声がまたよみがえる。
『 よけいにとれた魚はな、まんなかの『アシ沼』へおいてこい 』
ひとつの沼で捕っていいのは四匹。
沼は四つ。
それならば、とっていい魚の数は十六だ。
それにたいしてとれたのは十八。
たった二匹おおいだけだ。
『 《沼の神様》が、かぞえてなさる 』
「 ―― くだらねえ」




