四つめの沼
四つめの沼は年寄りの小屋からいちばんはなれたところにあった。
空にあったあかるい月はいつのまにかいなくなり、雲がでたのか、まっくらだった。
こんなに暗いのに、《ニヘエ》には沼のようすがよくみえた。 それをおかしいとも思わない。
いままでの沼よりも、さらに小さい沼だった。
むこうになにか黒いものがささって立っていて、杭かとおもえば、鷺のようだ。
こんな黒いサギがおるのか
そうおもったら、その鷺のような鳥が突き出したあたまから水へともぐった。しばらくみていたが、水からでてこない。
あれが、もぐって魚をとる、ウとかいう鳥か?
なんだかすこしいやだったが、ほかの沼より多く茂った草をわけてそばへゆき、まだゆれている水面へむけて、「おれは、《ニヘエ》じゃ」と名を言った。
しばらく待ったが、やはり鳥はでてこない。
あれは見間違いかもしれぬとおもいながら、ほかの沼でとおなじように、網をなげいれた。
まあ、魚といっしょにあの鳥がもしとれたら、いっしょに売ればいい
そうおもい、縄をひいた。
「 ん? 」
縄をすんなりたぐれないほど、網が重い。腰をいれてひきなおす。
「おお、おお」
ゆっくりとひきよせた網は、いままででいちばんふくらみ、とらわれた魚があがくせいで、水がはね、それをつかんでひきよせる《ニヘエ》の腕も着物も水びたしになった。




