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ヨツ沼のニヘエのはなし  作者: ぽすしち


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20/44

はじめの沼





 五、



 あかるい月にてらされながら年寄りの小屋から《ヨツ沼》までのしめった道をたどってゆく間に、いくつかの朽ちた漁師小屋があり、念のためひとつひとつをのぞいていったが、やはりみんなどこかへ行ってしまったようで、どれもずいぶんまえからつかわれていないようだった。

 

 あたりからはかわずのこえが鳴き競うほどに響き、夏をむかえる前のしめった夜だったが、そのあたりだけが、さらに湿気しけていて風もない夜だった。 



 どうりで重いと思った網には、重しなのか、石がはいっている。

 それをかつぎなおし、いちばんはじめにみえた沼へと寄って行った。



 草にかこまれたその沼に休んでいた水鳥が、《ニヘエ》に気づくとあわてたように水音をたててとびたっていった。蛙もどこかへ逃げたのか鳴きごえもやんだ。


 思っていたような大きな沼ではなかった。

 丸くきれいなかたちをしていて、むこうには小川があり、その水が月にてらされて、ここへ流れ込んでいるのがみえる。

 淵からなかへと沼をかこうように生えた草は、鳥がとびたっていったあとは、こそりとも動かない。

 その草をかきわけてのぞいた沼は、どうやらあの年寄りがいた小屋ほどの大きさしかない。



 これなら、どう投げても沼のまんなかへあみはとどくだろう。



 肩からおろし、両手でつかんだ網を沼へほうりこもうとして、手が止まる。




  『  あんたの名をいうてから、投げ入れるんじゃ  』



 聞き流したはずなのに、じいさんの声がよみがえる。




 名をいわないと、一匹もとれない?



 ばからしいことを





 勢いをつけて網を沼の真ん中めがけてなげいれた。





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