出会いと友情の芽生え
戦いの後、巨大な貝魔の中から出てきた一人の少女。
その髪は月光を受けて白銀に輝き、閉じられた瞳にはどこか神秘的な気配があった。
俺は思わずその小さな手に触れていた。
冷たいのに、懐かしい。
どうしてだろう……初めて会ったはずなのに、胸の奥に温かいものがこみ上げてくる。
「……君は、いったい」
少女はうっすらと目を開いた。
海の底のように澄んだ瞳。だが焦点は曖昧で、何かを探しているようだった。
「……わたし……だれ?」
掠れる声に、俺は息をのむ。記憶がないのか……。
彼女は自分の名前すら覚えていなかった。
⸻
学園に戻った俺は、すぐに教師に報告した。
職員室の中で、厳しい目をした教師が少女を一瞥する。
「記憶を失った少女、か……。正体不明となれば、本来なら隔離も検討せねばならん」
「でも!」俺は食い下がった。「何故かこの子は敵では無い気がするんです。何かを感じるんです。」
教師は腕を組み、しばし沈黙した。
その目が俺を試すように光る。
「……責任は取れるのか、アレン」
心臓が高鳴る。だが、迷いはなかった。
俺は静かに頷いた。
⸻
その後の集会。
仲間たちがざわつく中、俺は皆の前に少女を連れて立った。
「彼女の名前は……分からない。記憶を失ってるんだ」
教室に緊張が走る。
誰かが声を上げる。
「じゃあ、敵かもしれないってことだろ!?」
「危険すぎる!」
少女は不安げに俺の袖を握った。怯えるその姿に、胸が痛む。
「大丈夫だ。俺が保証する」
その言葉に、さらにざわめきが広がる。
だがその時——。
「もういいだろ」
低い声が響いた。
前列に座っていた短髪の少年が立ち上がる。反発ばかりしていたあの少年だ。
「お前ら、ガキみたいに騒ぎすぎなんだよ。アレンが責任持つって言ってんだ。なら、それでいいだろ」
「……でも」
「でもじゃねぇ。いざとなったら、俺が止めてやるよ」
強い目で仲間たちを見回す少年に、空気が変わっていく。
やがて、反論の声はしぼんだ。
彼はちらりと俺を見て、鼻を鳴らす。
「勘違いするなよ。認めたわけじゃねぇ。ただ……無責任なやつじゃねぇってことは分かった」
それだけ言うと、少年は俺の前に歩み寄った。
「コウキだ。……一応、名前くらいは覚えとけ」
差し出された手に、俺は少し驚きながらも握り返す。
その瞬間、少しだけ心の距離が近づいた気がした。
寮に戻りアレンは少女に声をかける
「そういえば、まだ名前を聞いてなかったね。」
少女は答える
「名前...分からない」
「なら...」
何故か1つの名前が浮かんだセレナ
「君はセレナそれでいこう」
「うん、分かった」
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このストーリーは私が昔から考え続けていた作品であり、誰かに読んでもらいたいという思いで、投稿しました。いつかはこの作品が漫画になったり、アニメ化したり、書籍化したいと思っています。
そのため、この作品の絵を書いてくれるという方、漫画の作画担当になってくれるという方など、是非お声がけ下さい!
そして、見てくださった方、よろしければ作品がどうだったか、意見をくださると幸いです!
よろしくお願いします!