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過去と目覚め

プロローグ ──死と継承


 刃が閃いた。

 振り返るよりも早く、俺は勇者の背に手を伸ばしていた。


「っ、下がれ勇者!」


 全身を焼くような黒い奔流。魔王の残滓。

 討たれたはずのその男は、最後の一手を仕込んでいた。己の魂を勇者に押しつけ、次なる器として復活するつもりだったのだ。


 ならば――。


 俺は躊躇わなかった。

 勇者を突き飛ばし、その身に流れ込もうとした黒い魂を、無理やり自分の中へと引きずり込む。


「ぐああああああああっ!!」


 灼けつくような痛みと、溶けていくような自我。

 それでも、勇者が、仲間が生き残るならそれでいい。

 この身一つで魔王の復活を封じ――そして。


「……これで、いい」


 刃を逆手に握り、自らの胸へと突き立てた。

第一章 ──黒き虚無の果てで


 目を覚ました。


 ……何もない。

 どこまでも続く真っ黒な空間。音も、匂いも、風すらない。


「俺は……誰だ?」


 記憶がない。名前も、過去も、自分が何者かすら思い出せない。

 ただ胸を締めつけるような恐怖と、足を動かし続けるしかないという衝動だけが残っていた。


 目的もなく歩き続ける。

 一日以上、飲まず食わずで。空間は変わらず、心だけが削れていく。


「……もう、疲れた」


 限界を迎えた身体は、勝手に眠りに落ちていった。



 目を開けると、世界は色を取り戻していた。

 草むら、木々、そしてその奥に――建物。


「……学校?」


 どう見ても、学び舎だ。現実感が薄いはずなのに、不思議と足はそちらへ向かっていた。



 校門の前に立つと、一人の男がいた。四十代くらいだろうか。教師らしい白衣を羽織り、こちらを見ていた。


「あの、すいません……。一日中歩き続けて、何も食べてなくて。少しだけ……ここに置いていただけませんか?」


「ふむ……。関係ない人間を入れるわけにはいかないな。だが――」


「だが?」


「“生徒”としてなら迎え入れられる。学費は不要。寮や食事も用意する。すべて無償だ」


「……ほんとに?」


「ああ。ただし、この学校は少し特殊でね。学生でも任務に出てモンスターを討伐しなきゃならない。死ぬ者もいるくらいに、な」


「……それでも構いません。このままじゃ、どのみち死ぬだけですから。ただ、戦いは……よく分からなくて」


「大丈夫。それを教えるための学校だ。むしろ君のような子ばかりだよ」


「僕と……同じ?」


「気にしなくていい。それより――名前は?」


 名前。

 唯一、口から自然と出た答えがあった。


「……アレンです」


「そうか。アレン、今日からよろしく頼むよ。ちょうど入学式が終わったところでね。さあ、教室へ行こう」



 男に連れられて入った教室は、ざわついていた。

 その男――教師らしき人物は、満面の笑みで両手を叩く。


「みんな! 入学式お疲れ! そして注目! 初日から転校生がいまーす! アレン君だ!」


「し、失礼します……アレンです。よろしくお願いします」


「それと――彼には、この学年のリーダーになってもらいまーす!」


「「「はぁああああ!?」」」


「えっ、リーダー!? 俺が!?」


閲覧頂きありがとうございました。どうでしたか?面白かったでしょうか?

このストーリーは私が昔から考え続けていた作品であり、誰かに読んでもらいたいという思いで、投稿しました。いつかはこの作品が漫画になったり、アニメ化したり、書籍化したいと思っています。

そのため、この作品の絵を書いてくれるという方、漫画の作画担当になってくれるという方など、是非お声がけ下さい!

そして、見てくださった方、よろしければ作品がどうだったか、意見をくださると幸いです!

よろしくお願いします!

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