爺話と解放
アーテルは学園長とリーグ戦を観戦しながら話していた。
「いやー便利ですねこの魔法。全学年の全試合見られますね」
「そうじゃろ。教頭の時から便利にするために色々やっておたのじゃよ」
「そうなんですね。以外としっかりしてて驚きです」
「わしもやる時はちゃんとしておるぞ」
「んーー、上級生でもこんなもんかって人多いですねー」
「能力ややる気は人それぞれじゃからのぉ。頑張ればいい線まで行ける者もおってもったいないと思うことも多々あるわい」
「あっ、あの人最初からぶっ飛ばしますね。侵クラスに近い濃魔法使えてますね」
「あやつは4年生の主席じゃな。リズ・スカーレットだったかのぉ。毎度派手にかまして元気が有り余っておるような子じゃな」
「周りと比べても1番抜けてるように見えますね。んーー、今の俺のパーティーメンバーでは勝てなさそう」
「ほっほっほー、1年坊主が4年生に勝つなんぞなかなか難しいわい。来年になればまだ可能性はあると思うが、学園入りたてのひよっこが相手できるもんじゃないかの」
「でもまぁリズさんでしたか?あの人は弱いものとの戦闘しか慣れてなさそうで可哀想ですね。あれは外では通用しなさそうだ」
「ほぉ、やはりわかるか。中々あの子の相手をできるものがおらんのでな。そこは学園だから仕方ないとしても、強者との戦闘では不利になりえるかの。どうじゃ引き取ってみないか?」
「えぇ、いきなりですか。あの人ならありかなとは思いますが、色々よくないでしょ」
「そこはわしがなんとかしてやるわい。まぁわしからは大会終わりに声かけくらいはしてやるから、学園大会の時に派手にぶちかましてやればいいんじゃよ」
「長の権力フル活用ですか」
「まぁ実際話題に上がらなくとも、わしから話すつもりではあったからの。しばらく負けなしだからのぉ、学園1位の惜しさは感じていたところじゃからな」
「学園1位なんですか。人気はありそうですね」
「されど畏れ多さと勝てないという思い込みを他の生徒も持ってしまっているので、リズからすると相手に不足しかない状態なんじゃよ」
「色々面倒な障壁は全部やってくれるのであれば、まぁパーティーに加えることは考えますが、別にいなくてもいいので俺受け入れ態勢で待ちはしませんよ」
「問題あるまい。どうせあっちからアプローチしてきよるわい」
「えっ、それは面倒が増えそうでいやなんですけど」
「なんかしろい」
「…はぁ」
「ところでアーテルよ。お主は複数の色を属性として持っておるのか?」
「えぇ」
「白の髪の毛に黒の目…そういうことかの?」
「そういうことですね」
「なんと!!やはりそうであったか!黒が使えるんじゃな?」
「使えますよ」
「ふむ。どこまで昔話は知っておるか分からんが、この国の建国期に黒が使えたものがおったと言われておる。それはかつて初代皇帝であった勇者様がそのお言葉をこぼしたとされておる。そこから現代まで黒の使い手は現れておらんかったのじゃ。わしはのその昔黒魔法を使っていたものを調べていたのじゃ」
「調べてどうするんですか?」
「それは正しい歴史を知りたいと思っておる。この世に黒は概念でしか存在できておらんからの。…アーテルよお主は何者なんだ?」
「…そんなに見つめられても求める答えは出ませんよ」
「ではなぜ失われつつある魔法を知っておるのじゃ」
「…黒魔法の記憶ですね」
「なんと!使い方などが継承できるのか!やはり黒は特別性があるということなんじゃな、、」
「学園長、俺は今までこのテリトリーで黒使うと面倒だと思ったから控えてましたが、これからは普通に使いますね?まぁ使うと俺のこと追えなくなるので気をつけてください」
「なんじゃと、それはありえんぞ。ここはわしは知ろうと思えば細かく情報を得ることができるんじゃぞ」
「学園長の魔法は空間そのものの情報を読み取って、そこであったことを知ることができるものだと思ってますが、黒を読み取ることはできませんよ。まぁ結果的に違和感から他の状況を見て今学園にいないとか、派手な魔法で演習場壊れているとかは知れると思いますが」
「ほぉ…一理あるのぉ」
「ちなみにパーティーメンバーも少しは使えるようになると思うので、これから不透明な情報場所が増えますよ」
「なに!?そんなことが可能なのか?」
「できますよ。まぁ使えるようになるには魔力量がそもそも桁違いに必要なので、そこを伸ばしているところですね」
「…やらんと思うが、大っぴらに広めるんじゃないぞ。国が出てくる案件じゃ」
「やりませんが、より一層やりません。うちのものにも人体実験の餌にされるぞと言い聞かせておきます」
「まぁ今回はこんなところじゃの。疑問が確信に変わっただけでも良かったわい。気が向いたらまた昔話でも聞かせて欲しいのぉ」
「…えぇ、話せるものがありましたら」
「ふむ。ちょっと1年生の会場に顔を出してきてくれないかの」
「なぜですか?」
「この闘技大会は1番遅くリーグが終わった学年の先生たちが後片付けをすることになっていてのぉ、わしは1年生侵クラスの担任じゃからこのままだとわしも参加することになってしまうんじゃよ」
「そんな裏大会みたいなことあったんですね」
「少し顔出して、早く終われるようにシャキッとさせてきてくれ」
「今度お願いを1個必ず受けてもらえる約束だけ今つけておきますね」
「ほっほっほー、基本お主からのものは断れないが、それでいいぞ」
「では少しだけ使われてきます」
「平気でワシの前で無詠唱のワープをするとはなんとも警戒心が無いのぉ。どれちょっと覗いて見るか」
『盗み見はよく無いですよ。気が向いたらまたお茶でもしますか?この時点から黒使ってるので悪しからず』
「ほっほっほー。これは一本取られたわい!なんともクソガキな感じがあるが、警戒力はしっかりあったんじゃの。1年生とは思えない素晴らしいものじゃな」
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