提案と困惑
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二章書き始め中...✍︎(-ω-;;)プルプル
勇者は魔法を使っただけでへばっていた。明らかに力不足でセンスだけで魔法を習得から発動までできたのだろう。
「そこまで到達したのであれば、次回からは一段階あげた指導をしてやろう。ここで発動する方が国で練習するよりもよい効果、フィードバックがあり背中を刺される心配もないであろう。国の金食い虫となっている状態でよくここまで生きていれたものよ」
勇者一行は伸され、いつものように送り返されていたが、今回は勇者のみまだ返していなかった。
「なぜ僕だけ返さなかったんだ?こ、殺すのか?」
「落ち着け。今回はお前にいい話がある」
「そんな怪しいものはない!と言いたいところだが、流石に数十年ともなると本当にあるんだと思ってしまう」
「なに、ちょっとな宝物庫を漁ってみることにしたのだが、なかなか良いものが見つかっての。欲しくはないか?」
「なぜここに持ってこず取りに行かせるんだ?」
「俺が触れないからだ。俺の魔法の干渉も受けない。他の魔族にも見せられないからな」
「っっっ!!」
「欲しいなら連れてってやるがどうする。まぁおそらくお前以外に使えるものはいないがな」
「…欲しい。」
「そうか。取りに行く前に少し話をしよう」
「なんの話しだ?」
「お前と初めて戦ってから30年ほど経ったな。俺は退屈せずに済むし、唯一扱えない白魔法を知ることもできて非常に楽しませてもらっている。しかしお前はどうだ。青年では済まないほど老けてきておるではないか。人間の寿命が短いことがここまで気になったことは初めてだな」
「何が言いたいんだ?」
「お前は今の国は好きか?」
「…まぁ」
「ははは。分かっておる。いちよう聞いてみたまでだ。俺からの話しは国をでてこの国、魔国ブラッガルで住まないか考えてみろという話しだ」
「そんなことできる訳がないだろ!」
「だから考えてみろと言っている。王国に厄介扱いされている状態で、俺を倒してどうする?ここまで面倒見てやったからという名目でより奴隷に近い拘束を受けるのではないか?」
「…」
「あくまでこれは建前だ。本命はお前の仲間が1人妊娠しておることだ」
「どういうことだ!?」
「いつものように送り返す時少し違和感があってな。新たな生命に気づいたと言ったところだ」
「そうなのか…。いつの間にか避妊ができる魔法が解かれていたのか。」
「年齢も年齢だ。痺れを切らしたのだろう」
「僕ももう45歳か。聖の力で周りより長生きはできるけど待たせすぎたのか」
「そこでだ。老いて俺について来れなくなった時、国を奪い取れ」
「下剋上でもしろというのか!?」
「そうだ。名目は魔王を討伐したと言ってな」
「どういうことだ」
「お前との戦いは人生最後の楽しみだと思っている。そこまでに討たれることはないからな。ここまで来るには寿命が短すぎる」
「僕の寿命は伸ばせないのか?」
「可能だ。だが寿命を伸ばしてやる代わりに俺のしもべになってしまうぞ?」
「なに!?」
「そういう魔法なのだから仕方あるまい。特に使うこともなかったから改良のしておらん」
「討伐した名目とは本当に死ぬのか?」
「あぁ。不本意にも魔王になってしまったが、普通の人として来世は過ごしたいと思っておる。俺もゆっくりしたいのだよ。だから転生の魔法を俺の命と引き換えに発動し、未来のどこかで生まれ変わることにしようかとな」
「転生が可能なのか!?」
「もちろん。これをできることは宝物庫を漁っている時に知ったことだがな。一人で長らく過ごしているとやりたいことも無くなるのだよ」
「…魔王に気を使う日が来るなど考えたこともなかった」
「ははは!良い経験だろ?俺以上のものはないから刺激が足りなくて、お前も死にたくなるかもな。ははは!」
「少し想像がつきそうなところがあるから否定ができない」
「話しを戻すが、お前ら仲間の住処を提供してやる。条件はお前が俺と戦い強くなれ。白魔法の真髄を俺は見たいのだ。そして子を成せ。次代の王族が血を絶やすことはあってはならんからな」
「考えさせてくれ」
「次に挑みに来る時を期限としよう」
「分かった。しかし笑えるな。魔王と勇者が取引しているとは!歴史を刻む大事件だが、後世に残してやれないな。愉快な魔王もいたと誰も信じないだろう」
「そもそも黒魔法と白魔法が使える者がおり、しかも同時期に存在すること自体が歴史において大きく残るべき大事件だぞ」
「それもそうか。とにかく一度考えさせてくれ」
「では宝物庫に行き次第帰してやる」
「頼む」
「なんだこの錆びた剣は?」
「おそらく白魔法を流すと本来の姿が出てくると思っておる」
「それに木箱から強い意志を感じる!手に取れ!と訴えかけてくる」
「やはりそうか。お前とは相性がいいんだな」
「この宝物庫を見て納得したが、誰にも教えられないな。ここを抑えるためだけに戦争が起きそうだ。これをみると大陸間統一もできそうに思える」
「ほぼ神に近い俺が作ったもの含め、武器や道具、知識が全て揃っているからな」
「恐ろしいものだな。ではこれはもらっていく。次に挑むときは楽しみにしていてくれ」
「そうだな。またくるがよい」
ブラックはここで勇者を送り帰した。
ここでブラックにはある感情が芽生えており、友人というものが来世では欲しいと強く思っていたのであった。
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