擬戦と同釜
「よし、アーテル、いくぞ!」
ミラが気合いを入れると、魔法バックから剣を取り出した。
「(俺の剣技に惚れ込んだみたいだったから俺も刀で相手するか)」
アーテルは収納から刀を取り出した。
刀が出てきたところを見ていた3人は驚愕していた。
「アーテルくん!どこから刀出したの!?それが入る魔法バック持ってないよね!?」
「あぁ、財布型のものは持ってるぞ?」
「あれに入るのかな?」
「そういや、アーテルって魔法バック使ってるところあんまり見ないかも…」
「(レイはいらんことに気づかんでよろしいよ)」
「ミラは剣が得意ってことかな?俺も刀で相手するから好きにかかってきていいよ」
「一本取ってやる!」
そういうと身体強化のスキルを発動した。基本人体が能力は全体の10%しか使用できない状態になっており、意識的に上げることはできないものとなっている。この身体強化はその能力値を引き上げることができるスキルになっている。副作用は身の丈にあっていない強化率まで引き上げることで出てくるようになっており、最悪死んでしまうスキルになっているのでこの調整は慎重に行うことが大事となっている。その中でもミラは副作用なく25%まで引き上げることができるので、優秀な部類に入っている。普通20%まで上げると脳へくる情報量から捌ききれないことが多く、身体強化はせいぜい2%〜5%の上昇率が普通であった。それを25%まで引き上げて使用できるミラはすでに達人の領域にいると言っても過言ではなかった。
「(入学時の試験で致命傷のダメージ表記を出していた1人かもしれないな。流石にこの身体強化率は想定外だ)」
『かちゃっ。ふっっ!』
ミラが抜刀でアーテルに左腰付近に切り上げるように攻撃してきた。
ガキィィィン!!
「速いなぁー!」
「っ!やっぱこれくらいは止めちゃうよな…」
「いい攻撃だな。俺はもし切られても回復できるから躊躇いなく本気できていいからな」
「絶対切ってやる!」
ミラは身体強化に頼り切って様々な剣技を披露したが一太刀入れられることなく息を切らしていた。
「ミラ。そこまでにしようか。流石に身体強化使いすぎだな」
「はぁ、はぁ、そうね。そうするわ」
「それにしても身体強化25%はすごいな」
「私がこれを使えることを知ってから、剣の先生方は皆指導をやめてしまったわ。その強化率なら剣技などあってもなくても同じという理由でね。まぁおそらく私に負けるのが嫌だったからでしょうね」
「それで俺を師匠にしようと?」
「そうよ。私に教えられるような人がいたものだから、その時は少々興奮してしまったわ」
「ミラちゃんが素直に話してる!それだけ嬉しいのかな!!」
「っっ!!マッアッルッ、あなたはいらないことばかり口にして、切られたいのかしら?」
「いや〜!いつものミラちゃんに戻っちゃった〜!」
「アーテル、この2人面白いね」
「愉快な人たちだな」
「それでアーテルくん、私たちはパーティーに入れてくれるのかな?」
「あぁ、それだが、いいぞ」
「本当!!!良かった〜!」
「師匠と呼ぶには若すぎてなんか嫌だわ、普通にアーテルでいいかしら?」
「パーティーメンバーになるから普通にさっきまでと同じでいいよ。多分そのうち師匠と呼びたくなるだろうから」
「アーテル僕にも似たようなこと言ってたよね〜」
「ねぇねぇアーテルくん」
「なんだ」
「せっかくパーティーになったんだから一緒にお昼だべようよ!」
「いいぞ」
「やったー!なら教室に行こ!私たちお弁当作ってきたんだ!」
「お弁当?」
「そうそう!どっちにしてもお近づきになりたいと思ってたから、作ってたの!」
「そうか、まぁなら食べようかな」
「私たち部屋も一緒だから2人でお弁当作ったんだよ〜!」
「ミラも料理できるのか?」
「最低限はできるわよ!何?私にはできなさそうって言いたいの?」
「いやいや、そういうわけじゃないけど…」
「ふんっ」
4人は教室についてお弁当を広げていた。寮の構造上、男子寮の方はフリースペースにキッチンがあるが、女子寮の方が部屋ごとにキッチンが完備されている。これは女性が料理をして提供するのが今後の家庭やパーティーで当たり前の行動と認知されているので、料理ができる環境は男子寮には気持ち程度しかないのであった。これが当たり前になったのは昔から男は狩りに出かけ食料を確保し、それを分け与えてもらっている女は調理を担当するといった風潮が未だに続いているからである。
それにこの案を提案したのはレイであった。食に関してかなり貪欲になっていることを知っているので、そこをつけいれば入れてもらえなかった時の最終手段にすればいいかもしれないとアドバイスしていた。そのアーテルは美味そうにご飯を食べており、頭の中ではお金渡せば毎回作ってくれないかなと考えていた。レイの作戦にハマってたアーテルであった。
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