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雄っぱい婚約で公爵令嬢が伯爵家三男と婚約したら国家の危機を招いて溺愛されるとは!  作者: 天田 れおぽん @初書籍発売中


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第二十六話 隠し通路筋トレ 2

「まぁ、もういいわ。さっさといくわよ」


 何がもういいのか、アイーダ自身にもわからなかったが、四つん這いになると小さく開いた暖炉の通路へ這うようにして入っていった。

 エドワルドもその後に続く。

 中に入っていくと、人が立って歩ける程度の高さのある通路が現れた。


 アイーダがスクッと立つと、少し遅れてエドワルドが隣に立った。


「今日はどちらへ行かれますか? お嬢さま」

「そうね。護衛騎士団の鍛錬場方面にしようかしら」

「流石お嬢さま。欲望に忠実ですね」


 通路は二人横に並んで歩ける程度の広さがある。

 大柄な護衛がフル装備でも歩ける程度だ。

 通路によっては、馬を引いて歩ける程度の大きさがある。


「ですが、鍛錬場近くの通路は広くて通りやすいですからね。あまり鍛錬にはならないかもしれませんよ」

「いいわよ、エドワルド。今日は体をほぐす程度で」


 アイーダは、鍛錬場方面を目指した。


 地下の隠し通路は、敷地の下に蜘蛛の巣のように広がっている。

 出入り口は敷地の中におさめられていて、目的によって使い分けできるような印象の場所にある。

 今目指している鍛錬場近くの出入り口は、護衛騎士たちを引き入れるためのものだろう。

 通路は比較的広く、馬と共に移動できる程度になっている。

 広い通路は、表門と裏門に繋がっていて、脱出しやすいような作りだ。

 屋敷の主たちの住まいである本館に近付くほど、通路は狭い。

 途中にある罠も多くなる。

 

 所々に仕掛けられた罠は自分で解くしかないが、そのすべてを覚えるのは大変だ。

 アイーダは幼少の頃から覚え始めたので、罠の解き方も、避け方も体に刻みこまれている。


「ちょっとエドワルド。そんな場所を歩いていると、罠に引っかかっちゃうわよ」

「そういうお嬢さまこそ。反対側にある罠を忘れてらっしゃるのではありませんか?」


 今は話をしながら歩ける程度にはなったが、罠を避けるためにも体力が必要なので、最初の頃は大変だった。

 アイーダは天井から下がった棒につかまりながら、執事に声をかける。


「私は、体が軽いから大丈夫よ。エドワルドこそ大丈夫なの?」

「うっ……少し体が固くなっているかもしれません……」


 脇から突き出してくる石の棒を避けながら、エドワルドは苦しげに言った。


 仕掛けを止めるためには、鍵となるものを事前に解けばいい。

 しかし、それでは筋トレにはならない。

 どこからどんな罠が仕掛けられるのかを把握している二人は、罠を解かずに先を目指す。


 鍛錬場側の出入り口は、高く盛り土をして丘のようになっている場所に設けてあった。

 ここにある罠は、敷地内でも特にエグイ。

 普通にトンネルがあると見せかけて、入ってすぐに罠を解かないと、さっそく罠が動くのだ。

 最初の罠は閉じ込めて水攻めされるという、わりとスタンダードな罠だ。

 馬に乗ったまま飛び込んでいけると思わせておいて暗闇と水が襲ってくるから、馬が暴れて兵士が振り落とされる。

 危ないといえば危ないが、次に控える罠に比べたら甘い。

 運よくその先に罠を解くことなく進んでしまうと、通る者を肉片にする罠が動き出してしまうのだ。

 だから護衛騎士団のなかでも、このトンネルには近付かないよう、一番最初に教えられる。

 しかし、アイーダたちは罠の止め方を知っているので、安全に辿り着くことができるのだ。


 隠し通路を出たアイーダとエドワルドは、星が輝く夜空の下で鍛錬場を眺めた。


「ここからなら安全にカリアスさまを、眺めることができるかしら?」

「そうですね、お嬢さま」


 だが二人は気付いていなかった。

 護衛騎士団員すら近付かない場所に、貴族令嬢とその執事が居ることに気付かれたら、大騒ぎになることに。

 

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