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科学魔法学園のニセ王子  作者: 猫隼
Ch1・令嬢たちの初恋と黒の陰謀
11/62

1ー11・勉強教えて

 逃げる一般人たち。意識のないコレットをその場から避難させる分身エミィと、それを手伝うミユ。 一方で、ニーシャが作ったプラスチックのリングにまとめて縛られた3人の男。

 他にその場には、レイと本体エミィとニーシャ。それに今さらだが、またカツラとメガネで変装したユイト。

「こいつらはいったい、何者なんだと思う?」

 ニーシャの方を見てレイが問う。

「わからないわ。でも三人とも捕まえれたし、すぐにわかると思う」

 そうニーシャが言い終えたくらいのタイミングで現れた、ほぼ正三角の紺色の飛行船。

 すぐに、縛られた3人の頭上で光を発し、まるで地上世界のフィクションの異星人の技術の如く、飛行船は三人を取り込む。

「あの飛行船、知ってる。きみらはじゃあ"秘密情報局ひみつじょうほうきょく"の?」

「ええ、そうよ。わたしはあれのエージェント7。エミィはエージェント7の03、ようするにわたしの直属の部下にあたるわ」

 レイの推測をあっさり肯定するニーシャ。


 秘密情報局。あるいは"SIA(シア)"。正式名称、"ミューテア秘密情報局"は、ミューテア政府が抱える諜報組織のひとつ。

 ニーシャたち。正確にはニーシャの任務は、レイ・ツキシロに関する調査と、可能ならば協力者としてのスカウト。

 民間の貴族ながら、独自ルートによる高い情報収集能力。それに、少ない接触でたいていの女性を口説けるその誘惑能力に、実はわりと前からSIA(シア)は注目していたのだという。

 エミィは、ニーシャお抱えの秘蔵っ子だが、公式的には見習いであり、まだ学生なので、あくまで臨時のエージェント。しかし偶然にもレイと同じ学校で、しかも同学年である事から、ニーシャに協力を頼まれたわけであった。


「で、きみたちこそ、やっぱり学園に通ってるのは偽王子くん、きみなわけなの?」

 そこは楽しそうに問うエミィ。

「ああ、いろいろ事情があってね」

 レイもそれをあっさり認める。


 それから、自分たちの事情と共に、ガーディら、他の経歴詐称組の事も、レイは隠さずに全てエミィたちに伝えた。


ーー


 麗寧館の一室に集まったレイたちとニーシャとエミィ。


「しかし、あんな街中でコード能力者に襲われるなんて、もう尋常な事態じゃないよな?」

「ええ、アズエルも潜入者が複数。何か起ころうとしてるのかもね」

 レイの言葉に、ニーシャも頷く。

「でも、さすがにあそこでは、下手な事は出来ないと思うけど」

 すぐさま言うエミィ。


 アズエル学園のセキュリティは非常に硬く、潜入は出来ても、一般生徒に手出しするのはかなり難しい。


「まあ、だからこそ今回みたいに、普通に外出してる時を狙ったのでしょうね」とニーシャ。

「でも、生徒が狙われてるの?」

 ユイトの疑問。

「いや、コレットもぼくもそうだし、貴族だと思う。最近、成金や貴族が破滅したってケースが異常に多い」

 しかし破滅してるのは、裏で悪事を働いていたりする者が多く、おそらくそこを利用されて、何者かにやられてるのだと推測していたレイ。

「犯人に関しても心当たりがある」

「クロ姫、ルルシア嬢ね。彼女が関係してると思うの?」

 ニーシャも彼女の事は知っていた。

 確かに、最近破滅した多くの資産家たちは、実は彼女にやられたという噂がある。

「可能性はあると思う」

 そしてユイトにも、その黒令嬢の事をレイは説明した。


「とにかく、もともとぼくのスカウトが目的だったんだろ。ならこれからは情報を共有して、協力していこう」

「ええ、こちらとしても助かるわ」

 そして、がっちり握手したレイとニーシャ。


ーー


「レイ先輩」

 次の日の登校時、またしても教室前でコレットに呼び止められた偽物レイのユイト。

「あ、あの、わたし、恥ずかしながら気を失っちゃいましたけど」

 ちなみに彼女には、運悪く犯罪組織と警察の抗争に巻き込まれてしまった、というふうにエミィたちの仲間が説明していた。

「昨日はありがとうございます。噂通り、ううん、噂以上に、先輩とってもかっこよかったです」とそこまで早口で告げて、彼女はその場を後にした。


「役得じゃん、'サギ'王子」

 あからさまにサギ、の部分を強調しながら、背後から親しげに背中を叩いてくる、今や彼がユイトである事を知っているエミィ。

「ああ、そうだね」

 一応笑顔で、しかしほぼ機械的に返しながら、ちらと、すでに自身の席について、おそらくは自身の分だろう課題をやっているミユを見る。


(「わたしたちもデートしましょうよ」

「決まりです、決定ですよ」

「わたしは楽しかったです」

「最高の初デートになりました」)


 頭の中で自然とループしていた、昨日の彼女のいくつもの言葉。

 楽しそうに笑ってくれた。手を繋いでくれて、その温もりはまだ残っているようだった。それに、初めてのデートとも言っていた。

 でも、かなり間違いなくその時間のせいで、本来は昨日するはずだった課題もあまりできていないのだろう。ただでさえ二人分を任されてるのに。


「こっち」

 唐突に、ユイトを近くの空き教室に連れ込むエミィ。

「何か悩み事だね、そうなんでしょ?」

 そして聞く。

「ユイト」

 その本当の名前も出す。

「エミィちゃん」

 ユイトも素の自分を出す。

 そして意を決し、切り出した。

「エミィちゃん、お願い、おれに。おれに勉強を教えてほしいんだ」

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