2-21 そんなこと聞いたら、叶わないじゃないですか....
だぁああ!!遅れたァアア
色々勢いで、執筆してしまった感...w
雲龍が去ってから、俺らはひとまず、ライアの武器屋に戻ることになった。
ライアが...
「雲龍がどこかへ行ったなら、深追いするのはよくないことだね。あいにくと、雲龍相手にボコボコにされてしまったんだからそれに...」
おそらくパンドラやすみな達がいるであろう方向を見つめると
「あっちで、もしものことが起きた場合は私たちが向かう必要がある。少なくとも三〜四人くらいの化け物地味た力を持ったやつがいるんだろう?なら、そいつらが力を削ったあと...私たちがやるべきことがあるんじゃないかい?」
それも、そうだろう。自分たちだけの戦いじゃない。
妖精たちも、関わってきているんだ。
「ふむ、一理あるな。今は、生存している妖精たちも探す必要が...」
「あぁ...それは、必要なさそうだよ?」
「む?」
「どっかから、木霊たちから守ってくれる強い人たちがいるみたいなことで、私の武器屋の周りに妖精が集まってきててねぇ....」
「ほ、ほう...」
フュマの、顔が若干引きつっている。
噂話って、すぐに広がるものな。辺りを見渡せば、知り合いばっかみたいなこんな場所で、情報の行き届きが遅いわけないか...
「なら、私たちはその妖精たちに危害を加えるものがいないか、見守りましょう」
「にゃあ...妖精たちは、木霊に対しては、自衛手段がないからにゃあ...」
「よしだ!!行こうかっ!!」
ヨルス、カタルーニャ、エルスが反応する。
「ふむ...その前に、我の体が、持たなさそうなのだが...」
「にゃ?」
「すまん。ウルテン」
足をプルプルさせて、座りこむウルテン...四人は定員オーバーだったようだ。
「あ、流れで受け入れていましたけど、タンダさんなんで後ろにいるんですか?変なところ触ってませんよね?」
「さ、触ってないからっ!!」
「ふぉっふぉっふぉっ!!若いっていいのぉ...む?筋肉...ついておるか?」
「やめろっ!!じいさんっ!!触んなっ!!あはははっ!!やめっ!!」
こそばっ、ああっ!!ワキ触ってるだろっやめっwやめろぉおおお!!
そんなこんなで、ライアの店に戻ってきていた。
妖精たちが、増えているっていうのは本当で、店周辺のニ、三十軒
に妖精が敷き詰められて今も怯えている。
俺は、そんな中に行こうとも思えず、とりあえず家の屋根で周りを監視していた。
「こんなところに、いたんですね」
突然、声をかけられて後ろを振り向く。
この声は、ヨルスさんか...
「オトさんのこと、心配ですか?」
「あ、あぁ...それも、ある。俺はさ、もともとそんなに強くなかったんただ。今持ってる力も仮初の...あれ?言ったけ?」
「聞いてないと思います。」
「俺は、なにもできなかった。変なオカマのイカに捉えられていた時もそう。とにかく叫んで、助けを求めるしかなかった。」
「......はい」
「すみなは...さ、命の恩人なんだ。いや、実際なにされるかわかったもんじゃなかったから、命に関わらないかもしれなくても、命の恩人だと思いたいな。」
「すみなさん...ですか。私は、あまり深くは関わりませんでしたね。結界の外へと出る時にチラッと見たくらいだと思います。」
「あの人は、面白い人だよ。全力で、叫んで...全力で戦って....あれ?みんなみんな、そんな感じか?」
エルスも、マキシマムも、パンドラも、カタルーニャも、全員全力だったような気がする。
眼下に、思い悩むフィナってやつだったか?じっと、下を見ている。
家の中で、笑いながら妖精たちとお酒を飲み交わしているお爺さんがいる。
「私も、必死でしたよ。」
なにが、必死だったんだろう?
「私は、もともとあなたを、大妖精様の生贄に出すつもりでした」
「.......気が変わったのか?」
「いいえ?そんなことは、ないですよ。でも、状況が、コロコロと変わっていってしまって、その度に、私はあなたに頼りっぱなしだった」
「そんなことは、ないっ!!俺の方こそ、ヨルスさんの魔法に頼りっぱなしだった。」
「それじゃ、お互い様ですね」
「そうだな。」
短い髪が、遠くで起きる爆発によって、ふわりとなびく。
妖精たちは、全員美人だ。ヨルスさんも例外じゃなく美人だった。気を許していた相手が、実は自分を殺そうとしていたなんてな。
あ、そうだ。
俺は、暗い顔で下を俯いている妖精のことが気になった。
「フィナってやつも、一緒だったんだろ?」
「フィナってあの妖精、ヨルスさんたちとは違う妖精だろう?」
「え、えぇ..まぁ、あの妖精が、大妖精の秘書みたいなものですから」
「ちょっと、待っててくれ」
降りて、フィナに会いに行く。生贄多分今までもそうやって何人もの人間を...
「あんた、フィナって名前で合ってるか?」
「......」
「すぅっ!!」
なにも感じてないような目で俺を見てくる。俺には分かる。これは、無力感だ。雲龍の一撃で負けたあの時も、今も感じている。
どうしようもない。俺はもうなにかをする必要はあるんだろうか?
そんな言葉が、チラついてくる。そんな言葉に打ちのめされている。
「ありがとう。」
「っ.....!?!人間に、感謝される言われなんてっ!!ないっ!!私は、エビシ姉様のために動いてだけです。」
「どんなことをしていたんだ?」
「....そうですね....人間たちを、壊して、妖精を中に入れたりとかですかね?だから、あなたのような人間に礼を言われる立場ではない。」
「......」
あぁ...そうか。なんとなく、分かった。ヨルスさんは、もともと別の人間の....同族を殺して妖精に変えることそれ自体への怒りはある。怒りはあって、むちゃくちゃ殴ってやりたいんだけどな....
「ありがとう」
「だからっ!!」
「俺は、お前のお陰で、色んな妖精と触れ合うことができた。」
「それでも、これ全部。全てっ!!私たちが作り出した屍の」
「あぁ...もうやめてほしい。ボコボコに殴りたい気持ちもある。それと同時に、こんなことは...なかった思う。恨むやつも沢山いる。だけど、俺はお前に感謝するよ。少なくとも、俺だけは、人間側で感謝する。」
「そんなの、いらない。」
「一方的な押し付けだ。それだけ言いにきた。じゃあな」
「なんなんですか。あの人」
キッと睨みつけてきたが、俺は無視してヨルスの元に向かう。
結局は、ただの自己満だけどな。
「ヨルスさん。そういうことだよ。俺は、なにもその件に関わってない。」
「えぇ...そう言う問題ですか?」
「いっ、いいんだよ。あーその、だからな、頑張って、色々したこの短期間はとても楽しかったよ」
すみなを探すために、ウルテンを助けるために、木霊から守るために、オトを親父の元へ返すために...
「あっ....」
夜空に、一つの星が飛んでいく。
緑色の星が....
声が、届く。
『私は、ニンフの王...風の大妖精のエビシの名において、緑妖精と風の妖精は速やかに妖精の世界へと帰るように命令します。とても、身勝手で、残酷なことだと思うけどっ!!
みんなには、帰ってもらいます。子供は、微精霊として私たちの世界へと連れていくことを許可します。いいですか。速やかに、人間の体を返して、妖精の世界へと帰りましょうっ!!』
大妖精....俺は、知らない黒幕であり、こんな状況を作った最低最悪の妖精。
でも、声音からは、そこまでひどいやつのような気はしない。
あっ!?ヨルスさんっ!?
ヨルスさんの体が緑の粒子に包まれ始める。
「最後に、楽しかった。なんて聞いたら、叶わないじゃないですか」
「......ヨルスさん」
涙が、頬をこぼれていく。
なんとなく、終わってしまうような気がしていた。死んでしまいそうになって、自分の言いたいことをちゃんと言おうと決めていた。
あぁ...言えてよかったな。
俺は....俺は.....精一杯不器用な笑みを浮かべる。
「それ、似合わないですよ」
「うっそ!!結構、似合ってるかな。って思ったんだけどな」
ふわりと、花の香りが漂う。緑色の髪が、なびいて、俺の顔にヨルスさんが近づく。
「っ.....////」
「これで、勝てました。」
勝つ...とか....知らないから....
「しばしのお別れです。私が上げたイヤリング似合ってますよ。私が、戻ってきた時に無くしてたら、結界魔法で海の奥へ沈ませます。」
「お....おう」
そうして、緑色の光は夜空へと輝き、空へと浮かび消えていってしまった。
(せめて、私が人間であるうちに、彼のことを知っていたかった。)
「あっ...」
ヨルスさんは、別の金髪の女の子へと姿が変わり、俺に倒れてくる。
あ、あっぶねぇ、なんてところで、空へと浮かんでるんだ。この子が、屋根から落ちたらどうするつもりだったんだよ。
「はぁ.....」
女の子を抱えて立ち上がる。
俺は、キスされた唇に少しだけ手を触れた。
そして、この子の顔を見る。
「全然、違う子からっ!!あぁああ!!なんか、モヤモヤすんなぁ!!」
そう言って、女の子を背負って家の中へとそっと寝かせてあげた。
『私は、ニンフの王...風の大妖精のエビシの名において、緑妖精と風の妖精は速やかに妖精の世界へと帰るように命令します。とても、身勝手で、残酷なことだと思うけどっ!!
みんなには、帰ってもらいます。子供は、微精霊として私たちの世界へと連れていくことを許可します。いいですか。速やかに、人間の体を返して、妖精の世界へと帰りましょうっ!!』
吹き飛ばされて軽く意識を失っていたら、突然頭に響くような声がして、目が覚めた。
あ、あれ?気づかないうちに、色々進んでない?
「これって、私、みんなにお別れも言えないってことよね。え、嫌だよぉおおお!!ちょっ、みんなぁああぁああ」
動こうとするけど、中々足が動かそうにない。
「あっ...なんか、こっちくる。ちょちょちょっ!?なになになにっ!?」
いくつかの、蛍が私の体をふよふよと漂い始める。
「ちょっと、なに!?!」
一つの緑の光が、私の中へと入っていく。そうしたら、次々と私の体へと潜っていく。
「うぇっ!?なに、うぇっ!?気持ち悪っ!?ちょ、入ってくんなっ!!しっしっ!!」
なにか不快感のようなものを感じとって、外へと追い出そうとすると
『おいおいっ!俺らを追い出そうとしてんのか?ひでぇ、な。よぉ、マキシマムだよ。』
あろうことか、憑依してきた。
「もっと、やり方があったでしょうがっ!?女の体、まさぐってくるとか男としてどうなのよ」
『こうする他なかったんだよ。あぁ...この状態。俺だと長く続かねぇな。それに、気持ち悪いわ。』
「なっ!?!」
『あー、変なこと言うな。伝えたいことが一つある。ライアの武器屋ってところに、ジジイがいる。そいつに、オトつう思い人にあわせてやってほきい。』
「誰それ...あ、あれっ!?どっか行っちゃったし、なんなんだあいつっ」
『なんか思うところでもあったんじゃないかい?あ、僕はエルスだよ。声音だけじゃ、分かりにくいところもあ....』
「あぁ、エルスね。ウルテンのこと、ありがとね。色々助かったわ。」
『いいんだよ。僕の、結界魔法が役にたっ』
「あ、あと、マキシマムにもよろしく頼むね」
『あ、相変わらず、みんな僕の話を聞かないんだね。いいけど...』
そういうと、エルスの気配も消えてしまった。私にも段々どのくらいで消えるのか感覚的に、分かってきたからね。
『こんにちは。すみなさん。初めましてじゃないけど、ヨルスっていいます。よろしくね』
「あ、魚退治の時の」
『それです。私からも一つ。タンダさんをよろしくお願いしますね。あの人、色々無茶をしちゃうので』
「タンダ?なんで、タンダ?いや、タンダは無理じゃないかなぁ...w踏んじゃいけない橋に進んで踏み込んでいくし」
『あなたも、似たような人だということはわかりますよ。』
「あ、あははは....」
そういうと、ヨルスさんの気配も消えてしまった。ちょちょっ、色々ありすぎて、頭こんがらがりそうだわ。一気に来すぎなのよ。
『やっほ、すみな、助かったみたいね』
「パンドラ!?!パンドラも、行っちゃうの?」
『いやぁ.....それが、うーん、私は色々特殊な事情があってね。その、これは提案なんだけどさ。すみなの中に住まわせてもらえないかな?』
「ん!?!?」
私の中に住む!?!よくわからないんだけど、どういうこと?
『ほら、マキシマム言ってたでしょ?オトがどうのって、人間の体は使えなくなったから、すみなの中に住めないかな...って』
「いや、そのオトの話はどうでも、いいのよ。私の中に住むっていうのが」
『あ、あぁ...あなたに、取り付いている状態?わからないけど、そんな感じ。ほら、木霊とか私たちみたいに勝手に取り憑いてこないように守護霊?とかそんな存在になるのかな』
「んー、よくわからないけど、私パンドラに色々ひどいことしちゃったから、それでもいいなら」
『分かってる。色々あったんだよね。私守るから!!』
「パンドラァアア」
反射的に抱きつこうとして、エア抱きをしていた自分に驚く。そっか。これ憑依されてるんだ。
『あ....アハハハ』
「から笑いとか、やめて。なんか惨めになってくるわ」




