4.ばぶばぶばぶぅ...ばぶばぶ(幻想的ぃ綺麗ぃ...私なんでも言うこと聞いちゃう)
「ここが、我が来たかった場所だ。」
そこは、物語でよくあるようなお花畑、木と木の間から刺す木漏れ日が、とても幻想的に見える。
赤と黄色と緑と白...そのどれもが、キラキラと輝いて空に手を伸ばしている。
「ばぶ...」
思わず感嘆を漏らさずを得ない。
私の目には、その幻想な光景だけじゃなく、なにか綺麗な精のような光がふわふわと漂っていて...
それも、色とりどりの光を解き放っている。
まるで、カラフルな絨毯にこの世の宝石を散りばめたような。
そんな美しくて、綺麗な光景。
「気に入ってもらえたか?」
「....」
「守り人は、大地を守る存在のことだ。それは、天啓を受けて落ちてくるといわれている。」
「ぅ...」
「我は、お前が守り人になれると思っている。だから、是非お主に頼みたい。」
....そんな事言われてもな..
守り人かぁ....眺める光景が、より神秘的に見える。
そして、続く言葉を失う。
この世界には、こんな贅沢な場所が存在するのか...
私が、転生してきた意味がここにあるのだとしたら...
あー、無性にここを守りたくなる。
守り人....ずっと、狼が言ってきたことだけど...
そんな仕事に、ついても本当にいいんですか?
なんて...考えるのも悪くは、ないよね。
「ふむ、こんな赤子に見せるようなものでもないのだが...」
そんなことはない...首を思いっきりふる。
地球の自分だったら、ここで綺麗な髪がブンブンッと揺れるんだけど。
赤ちゃんだから、やっぱり生えてなくてなんだか...シュンとなる。
「あーうあ...ばぶばぶ」
私...頑張る。
それ以上でもそれ以下でもない。ここを守るために...
「そうか...なんて言ったのかわからないが...満足してもらったのなら嬉しい。」
ちょっ、なんか違うでしょっ!!
ありがとう。頼んだぞって言うところっ!!
「あうぅ!!」
少し強めに殴りつける。
風の加護の影響で、勢いが抑えてられる。
精霊さん精霊さん。私の気持ちを返してよ。
∞
「おい。もう、夜になるぞ。そろそろ出ようと思う。」
ば、ばぶ?wあ、違う。嘘でしょwいや、一瞬、赤ちゃんになりかけた。危ない。
あたりを眺める。周りはもう日が落ちていて...
ってええ!?!もう、こんな時間!?!
あっちでも、こんな熱中することなんてなかったのに...世界って不思議だ。
で、でも!!あと少しだけ!!少しだけ、眺めさせてほしい。
「はぁ...お主なぁ...また来れるんだぞ?」
嫌だぁ!!!私まだここにいる!!って言いたいけど、しょうがない。
「あうあう。ばぶばぶ!!」
「なに?おい。なにをしている。」
見てわからないないか!!地に降りようとしてるのじゃ。
「お、お主...まぁ、よい。一回だけだぞ?」
「ばぶ...」
ほのかな香りが鼻腔をくすぐる。
夜になってきたせいか、もう精たちは、数少なくなってきている。
「ばぶ!!」
その花の中に顔をうずくめる。なにか、込み上げてくるものがある。
地球を...あの時、私は死んだ。
そして、魂ごと消されそうになった。(知らんけど)
でも、幸いなことに、こうして生きている。
でも、私はあのままあの闇の中に飲まれるべきだったのじゃないか?とさえ思う。
本来は、あるべき役目が、なにか悪いように作用したのじゃないか...とか...
今更、現実にどうのとかそういうの考えたいわけじゃないけど...
「ばぶぅ...」
生きてるこの瞬間を大事にしていたいよ。
例え、その使命がこの山を守ることだったとしても、私は...生きていたい。死にそうな経験を何度もしたからこそ、たどり着いた結果。
絶望しかなかった。守りたいものなんてなかった。でも、守りたい。この地を...(守りたいものとはって話であるのだが...)
「ばぶぅう....」
測らずも、この大狼にそういう考え方に仕向けられた気もしないでもないけど...
私は、この地で生きていくよ。
∞
「おー、帰ってきたか。」
「おせぇ、じゃねぇか。心配はしてねぇけどよ。二人っきりは寂しいぜ。」
帰ってきたら、二人のおじさんが待ってくれていた。
おじさんの、デレって...wあ、これ考えちゃダメなやつじゃないか?
「うむ、今日から一人増えたことだし。飯にしようか。」
「ばぶ...ばぶばぶ」
うむ、そうしよう。と思ったけど...そういや、私お腹減らない人間?なのか...
「お前さんも、食べれるうちに食べちまえ。」
「ばぶ」
「おい。旦那こいつは、あれっすよ。ミルク!!飲むんだったら、ミルクっすよ」
「あー、赤ちゃんだったしなwガハハハ」
うぜぇ...こいつのくだりに他会わないといけないの?マジでだりぃ...
「我は、そこらで子鹿でも狩ってくるかな。」
「こんな美味しそうなスープを食べないってのか?狼の」
「我は、スープより肉派でな」
いや、狼がスープ飲むのなんて想像がつかないよ。
ってか、肉派ってか肉しか食えないんじゃないのかよ。
「ふむ、ミルクミルク....旦那、その子鹿を狩るってことは親鹿がいるはずでしょう。そこで、ミルクでもついでに拵えてきてくだせぇ...」
大ぶりを振って、しゃべるおっさん。
この二人顔は一緒だから...なんか、奇妙な感じがするんよな。
「うむ。あいわかった。それでは行ってくる。」
そして、走りさっていった。って...もう見えないし...さっきのスピードだったら、見えてもいいくらいなのに...
さては、本気だしてなかったな。
全く気遣われたものだな。
ん?そういえば、
「ばぶ?ばぶばぶ」
「あぁ?なんか言いたいことあるんなら、ちゃんと言葉話せ。」
「いや、無理だろ。最後1ヶ月も経ってないぞ。多分...ここまで 大人しいのが異常なくらいだ。」
「ほう。そんなもんなのか...」
「ちっ...あう!!あうあう!!」
流石に話を聞いてほしい。
言葉が伝わらないんだったら...絵で描けば伝わるか?w
「お、おい。」
無言で、木を手に取り...絵を描く。あれ?私こんなに絵を描くのうまかったっけ...
「おぉ....ピクシーのやつか...wあいつは、今はいない。どうせ妖精界にでも行ってるんだろ。」
「それにしても、この絵...赤ちゃんが描く技じゃないですね。そういう技能でも持ってるのか?」
「絵を描く技能が、守り人に必要だと思うか?多分、恩恵だ。恩恵」
さっきから、なにを言ってるのだろうか...少し理解できないけど...
ピクシー今はいないんだ。
「こいつスープ飲まないですかね。」
「飲ますか?w」
え?やめて!!パワハラだ!!赤ちゃんへのパワハラは反対だ!!
一気にこの人たちがおそろしくなった。
やばすぎるw
「うぅううぅう」
とりあえず、威嚇しとく...警戒してるぞ。って合図だ。
「冗談だってwまぁ、狼が来るのを待ってから、食事にするとするか...」
「そっすね。それが、いい。」
こいつ〜っす系のおじさんだったか...wそうやってバカなことを考えてるすみなだった。
なんでもって言ったね?w