2.あー、死んじゃうのかぁ...死ぬのは嫌だな
どうしよう。言葉がでてこない。
こんなに重大なこと、みんなに伝えた方がいいって思ってるのに...頭の中でグルグル言葉が堂々巡りをしていて、体が、動かなくて...
「おい...大丈夫か?やばそうなら、保健室行った方が...」
うっ...なにか、が込み上げてくる。ダメ...それをしたら、本当になにもできなくなる。
「すみなちゃん?大丈夫?」
「けほっけほっ...」
胃酸が逆流して、喉にきた...無理だ。なにも言えない。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
「お、おい...おいおいおいおい...」
前の座席の、山部 翔太だったか...が、声を上げる。
何度かちょっかいかけてきて、気に食わないやつだったがこういう勘の良さだけは、いい。
「どうした?翔太まで」
「先生、あれ..」
私のもとに集まっていた視線の波が、通過していく。
キーン!!という音が鳴り響いてより、みな気づく。
ガタガタと音がなり、窓ガラスも今にも割れそうだ。
「ねぇ、すみなちゃん...」
喉が痛くて、下を向いていた私は、そっと顔を上げる。
「死にたく...なぃぉ..っ...」
エミーらしい叫ぶわけでもなく、激情に身を任せるわけでもなくただただ、体の奥から絞りだすような声...
言葉に出して、現実を痛感したのか涙とともに、嗚咽が混じる。
大丈夫なんて...言葉もだせない。
ただただ、私は席を立ちそっと、エミーの頭を撫でた。
そうすると、みんな叫びだす。走って逃げ出そうとする人。
呆然自失となるもの。神懇願するもの。
人それぞれだが、みな同様に混乱していた。
そして、その時がやってくる。と同時に、なにかに身を包まれる。
「私も混ぜて」
なぎさか...そう、顔を振り向くでもなく、私は苦しい喉で確かにうん。とそう言ったような気がする。膝掛けに使っていた毛布を頭から被って、隅に移動する。
せめて、余波で苦しむことがないように、そう。願って
光が、身を包む。始めるにガラスが割れる音がした。毛布でくるまっているため、なにが起きているのかわからないけど...
悲鳴がしたような気がした。
けど、そんなのも一瞬だ。
私たちは、鈍い衝撃と共に、その命を絶った。
最後に、なぎさが「来世では、幸せに生きることができますように」
という、言葉が耳に残った。
彼女は、本当の女神なんだろう。
∞
ここは....あたりを回す。
天国に着いたのかな。
光の本流に身を任せている。
私の体は...腕を動かすけど、そんなもの見えるわけもなく...ただただ途方に暮れる。
ふと、両脇を眺める。
(あ、先生だ。)
そう。ピンクのジャージが目立つ先生を見つける。
そしたら、彼もこちらに気づいたらしく。驚いた顔でなにかを言っている。
(なんだろう。なにが起こったんだ。みたいな感じかな。)
エミーや、渚も見つけるけど...
あれ、目を覚ましてない。
なぜか目を閉じたまま流れに身を任せてるようだった。
あ、翔太...
特に関係ないけど、彼も死んじゃったのか...発見したの早かったのに...
あの時を振り返る。
一瞬だった...渚が走ってこちらに来てなかったら、多分間に合わなかっただろう。時間にして1分程度...私とエミーと翔太はすぐにわかったから、それくらいあったけど、他の人たちは20秒くらいしか時間なかったんじゃないかな。
そう考えると、よく渚こっちまで来たな。ちょっと感心だ。
あたりを眺める。
あれ...地球だよね。
地球が見える。なぜ、地球が...
それに、この光の本流はなに?
いろんな疑問が浮かぶけど、結局よくわからず途方にくれていた。
あれから、どれくらいが経過しただろうか...
20分?30分...いや、もう時間とかいう概念があるのかもわからない。
既に、地球とかはどっかに行っちゃったし...
あれって...
黒い穴に寄って、光の方向が捻じ曲がってる。
(わたしたち...あれに、飲み込まれるの?ただでさえ飛行機墜落とか不安だったのに...ヤダヤダ...)
絶対に、ここを抜ける!!抜けてやる!!
そういう問題じゃない。わかってるけど...
そう思ってると、そんなこと杞憂だったかのように、一人の男性が、どこからともなく現れて、光の本流を捻じ曲げた。
この人...私は見たことがある。確か名前は....
思い出す前に、大きく急カーブをし、再び光に身を任せる。
彼は、慈愛の表情を浮かべ、軽く手を振っていた。
そして、5分も経たず(体感だけど)
なにかの惑星につく。
ここは...お立ち台のようなところに、ふわりと立たされそして、クラスメイトを二つに分断された。
そこで、先生ともお別れのようだ。
ピンクのジャージが見れなくなるのは、残念だけど...またどこかで会えますよ。そして、先生はどこかへ行き。わたしたちは、この地球のような惑星にやってくることになった。
次のお立ち台のようなところで、急激な眠気が襲い...私は、その眠気に抗えず意識を落としていった。




