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連なるもの ~菅田の事件簿~  作者: こでまり
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予定外の出来事 後編

 佐伯と松本は笑顔で菅田を見ている。

 鍋島は菅田の肩を押さえながら落ち着くように言ってくる。

「なにがあったのですか?」

菅田が椅子に座り直して聞き返す。

「あの時のことを聞きにきたのですよね」

佐伯は全てを分かっているような口ぶりだ。

「大崎美緒が怪我をした時のことを詳しくお聞きしたくて」

佐伯は田辺がチャペルに向かう時からの話を聞かせてくれた。

田辺がチャペルに向かって、暫くすると今度は宇佐美が走ってチャペルに行くのが見えたので松本に様子を見に行くように伝えた。

松本はチャペルへ行く道の近くまで行くと本館へ続く遊歩道から田辺が歩いてくるのが見えたのでそこで合流してチャペルへ行ったという。

その間、カフェの前を通ったのは宇佐美がカフェの前を通る少し前に三人組の宿泊客が歩いて通り過ぎていくのが見えたということだった。

「歩いてですか?」

菅田は逃げるのに歩いてはおかしいと感じたのでそ宿泊客は違うのだろう。

「どうして、宿泊客だと分かったのですか?」

鍋島は別のことが気になったようだ。

「その日の昼ごろ、カフェに来られていたお客様だったので覚えていました」

 松本が言う。

菅田はやはり、カフェの方へ逃げたのは違っていたのかと思った。

「佐伯さんはどうお考えですか?」

鍋島は佐伯に意見を求めた。

「怪我をした方と一緒にいたのが一人とは限らないでしょう」

菅田と鍋島は佐伯を見た。

佐伯は例え話ですよと笑っているが、鍋島は真剣な眼差しで佐伯を見ていた。

一人でなかったとしたらか。

その後、菅田と鍋島は注文したサンドウィッチとコーヒーでちょうしょくをとりカフェを出た。

副支配人室に戻りながら、菅田と鍋島はそれぞれ疑問に感じていた。

「謎があります。大崎美緒が怪我をいた時間はかなり陽が落ちていました。その時間にいくら昼間見たからと言って宿泊客の見分けがつくでしょうか?」

菅田は以前、大崎美緒が怪我をした時間に遊歩道を歩いている。その時を思い出してもカフェの中から、遊歩道を歩く人の区別がつくだろうか。

「宇佐美さんならなんとなく分かるかもしれませんが、宿泊客となるとはっきりとは分からないでしょう」

鍋島も同じようなことを考えていたようだ。それに、佐伯が最後に言ったことは何を指すのだろうか。

 鍋島はアレが答えですと言っていた。

アレとはチャペルに一人以上の人物がいたということだ。

大崎美緒以外だと原口純子と能村直美だ。

田辺が見たのは一人。それをどう説明するのか。

「何やっているのですか?」

夜勤のため出勤してきた三島に声をかけられて、二人は顔をあげた。

テーブルの上には朝、菅田が持っていた地図よりさらに大きな地図が広げられて、そこに紙で作った人形が置かれていた。

朝、カフェから帰ってきた菅田と鍋島が結局、チャペルに三人いたと推測したが、その後のことがわからず、地図を作り直して時間毎に誰がどこにいたのかを一つずつ確認していた。

「三島、聞きたいことがある」

本館のフロントには三島が出勤したら副支配人室に来るように言っておいたのだ。

「三島さん、非常階段を降りる時、どこを見ていましたか?」

鍋島が聞く内容に三島は一瞬怪訝そうにしたが、地図を見て理解したのか考え出した。

「階段を降りるときは遊歩道を見ながらですね。踊り場のところは一瞬ですが足元を見ました」

 三島は思い出しながら答えている。菅田はそれを聞きながら地図を見ていた。

「ではここの踊り場はどこを見ていましたか?」

鍋島は地図を指さし重要なことを聞く。

「そこは階段を降りたところで遊歩道を見て、その後は階段が遊歩道とは反対向きになっているのでゆうほどうを見ていません」

菅田と鍋島は頷いた。

三島が職場に戻ってから菅田は地図を見続けている。

「時間にして数秒の出来事ですよね」

鍋島は今朝、カフェで聞いた話を地図上に記入している。

「数秒が二回、スタート時と少し置いて数秒ですね。その間になにが出来るか?」

 菅田は相変わらず地図を見たいた。

「佐伯さんの言う通り三人、美緒と純子、直美がいたとしたら、田辺さんが見たのは純子と直美のどちらかでしょう」

鍋島の内容に菅田はチャペルに残った者を思い出した。

「島崎さんと堀内さんでしたよね。チャペルスタッフの」

鍋島はなにか思いついたように言う。

「堀内は腰を抜かしていたらしいから除外して、島崎は確かちゃぺるの中に入って、宇佐美さんに連絡をした後、救急車を呼んだと言っていました」

菅田は島崎から聞いた話を鍋島に伝える。

「固定電話ですか?」

「そうです。チャペルの中にあるものです」

菅田は固定電話のある場所を地図上に示す。

「大崎美緒が落ちた時、田辺さんと島崎さんはここにいたのですよね」

鍋島はチャペルの庭園を指さした。

そこから田辺はチャペルの中に入り、三階に行く。その間、島崎もチャペルの中に入り、固定電話で連絡をした。

「田辺さんは一人しか見ていないとしたら、もう一人はどこに行ったのでしょうか」

田辺たちがチャペルに入った時点で一人しかいなかったとしたら、もう一人はどこにいたのか。

「それは共犯かどうかという意味ですか?」

「防犯カメラの映像では純子の後ろを広子がつけていましたよね。帰りは別でしたが。多分、チャペルでも二人は顔を合わせていないように思うのです」

「顔を合わせていないとすると、どちらかはチャペルに行っていないかもしれないですよ」

「大崎美緒が建物から落ちて、田辺さんが逃げる人物を見つけるまでの時間はどれくらいですか?」

「二、三分です。庭から窓を見ると人影が見えたので島崎に救急車を呼ぶように言って三階まで行ったと言っていました」

「誰かが、美緒を突き落としたのだとしたら、田辺さんがチャペルに入る前に逃げているはずですよね」

「非常階段から田辺さんに見つけられるのを待っていたように思うのですが」

菅田は松本の言っていた宿泊客のことも気になったが、それよりもどうして田辺がチャペルの三階に行くまで留まっていたのかを考えた。

「一人目が大崎美緒を突き落とし、二人目は何らかの理由でそこに留まっていたというのですか?」

菅田は地図を再度見た。

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