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連なるもの ~菅田の事件簿~  作者: こでまり
チャペルでの出来事

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12/33

落しもの 前編

「何故でしょうか」

鍋島が言うのも、もっともだ。

「吉村さんも不思議がっていました」

先日チャペルの庭で見つけた付け爪は原口純子のものだと分かったが、あの場所は田辺が襲われた時に警察が鑑識を入れて隅々まで調べていた。

原田直美は田辺が襲われる前に遺体で発見されている。

菅田の執務室で鍋島と付け爪があの場所にあったことを考えていた。

「誰かが持っていたとか?」

「原田の指紋しか出なかったと言っていた。あれが原田のものだと知っている者の仕業ではないかと吉村さんが言っていました」


「大崎美緒でしたよね、瀬田の娘。最初、自分で落ちたと言っていたらしいですね」

「そこですが、どうして急に発言を変えたのか気になります」

菅田は以前から気になっていたことを話す。

「誰かが何かを吹き込んだか、ですね」

鍋島は何かを悟っているようだ。

「原田直美の件は私たちのことに関係していないと考えたのですが」

「繋がりがあるかと言われれば可能性はあるでしょうね。ただ」

「ただ?」

「犯人は別です。狙う理由が分かりません」

「そうですね。私たちが狙われたのは瀬田に関係しています。原田直美は瀬田とは関わりがないと聞いていますから」

吉村たちが瀬田を含めた周囲の者を調べているが、まだ全員調べ終わっていない。行方が分からない者もいると聞く。

「原田直美の件は別で考えたほうがいいかもしれませんね」

鍋島は付け爪の写真を見ながら言う。

「それなら、理由は一つしかないのだが?」

「もしかして……」

鍋島が何かに気づく。

「だと思います」

菅田も同じことを考えていた。

「どうします?」

 鍋島は菅田に行くかと聞いている。

「私たちが動くのは拙いです。特に鍋島さんがここに来ているのを知られてしまいます」

菅田と鍋島は田辺を襲った者がホテル内にいる可能性を考えて自分たちが動くのを止めた。そのかわり、吉村にある人物たちへの聞き込みを頼んだ。

「いない?」

一時間後、吉村の部下が聞き込みをした結果、堀内が姿を消したことが分かった。菅田の執務室にきた吉村が聞き込みの結果をもってやってきた。

「今日は休みだったそうで自宅に行ったのですが、昨夜から帰っていないとのことでした」

菅田と鍋島は顔を見合わせた。

 大崎美緒がチャペルの庭に落ちた時、あの場にいたのはチャペルスタッフの島崎と堀内、田辺とカフェのバリスタをしている松本だけだ。

田辺以外の三人に話を聞きに行ってもらったら、堀内がいないと言われた。

「あとの二人はなにか言っていませんでしたか?」


 菅田の問い掛けに吉村が答えた。

「松本さんは田辺さんがチャペルで不審者を見かけたと言って追いかけていたところで会って、チャペルに行きました。その後、鑑識作業が終わるのを待って片付けをして戸締りをして、田辺さんとカフェに戻ったと言っています」

「不審者?」

菅田はその話を聞いていないので聞き間違いかと思った。

「どうやら、田辺さんは宿泊客が関係していると思い、内緒にしていたようです」

「その不審者はどんな人だったのですか?」

鍋島が聞いていた。鍋島も疑問に思っているのだろう。

「松本さんは田辺さんから、女性のようだったとしか聞いていないそうです」

またしても女性か。原田直美だろうか? 菅田はなんとなく思う。


「もう一人の島崎さんですが、田辺さんと話している時に大崎美緒が落ちたと言っています。その後は、田辺さんに言われてその場に残り宇佐美さんや救急車を呼んだりしていたので、よく分からないと」

菅田は溜息をつく。やはり何もないのか、そう思ったが吉村は話を続けた。

「数日前に島崎さんは堀内さんに会っていました。その時、いい金ヅルが出来たと言っていたそうです」

「金ヅル?」

菅田と鍋島が声を揃えて聞く。

「島崎さんもそれが誰かまでは教えてもらえなかったと言っていました」

「まさか、堀内は何か事件に巻き込まれてはいないでしょうか?」

菅田は金ヅルと聞いて不安になる。

「今、捜査員が堀内さんの足取りを追っています」

 吉村が帰った後、菅田と鍋島は暫く考え込んでいた。

「菅田さん、もしかしたら堀内さんは大崎美緒を突き落とした犯人を見たのではないでしょうか。そして、その犯人を脅した」

「可能性としてはあります。それと田辺さんも見た可能性はありませんか? 今回、田辺さんを襲ったのはその犯人だとしたら」

田辺さんは不審者を女性のようだったと言っていたらしい。女性が長身の田辺を襲うのは、田辺を跪かせるか、屈ませないと頭を狙うのは難しい。

「付け爪か……」

鍋島が何気に原田直美の付け爪の写真を眺める。

「あっ!」

 菅田はその付け爪を思い出す。

「原田直美以外にいた」

「えっ?」

鍋島が怪訝そうに菅田を見た。

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