遙かなる幻野
眩い光だ
けれどそれは暖かい、暖かい光
どこか懐かしきあの光
眼前に腕を翳し
丘の上から一望する
大地を
私を染め上げる橙
沈み行きながら照らす
あの煌めき
さんざめくあの輝きを
広大な野原の穂が風に揺れる
寄せては返しうねりゆく
あぁ
燃えている
まるで燃えているかのようだ
眼下に広がる
幻想を前にし
私はスッと力を抜いて
トンッと飛ぶ
私は橙に染まりながら
大地へと一直線に
吸い込まれてゆく
あぁ
原野よ
黄昏よ
泡沫の如し
遙かなる幻野よ
いま神秘は此処に有り