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世界が滅亡し始めた時、僕は考えた。  作者: シャルロッテ
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普通こそが何より正しい生き方だと。

7月某日。世界各地で大規模な地震が起きた。震源地は太平洋。地球が揺れたと言っても過言ではないその地震は海上に何かを発生させた。災害と言うには生き物らしく、怪物というには実体のない何か。人々はそれを奴と呼んだ。奴は、震源地である太平洋の深海から這い上がって来たらしい。現在は、世界各地の海軍や空軍が奴を倒そうと奮闘している。僕といえばそんなことを他所にいつも通り学校へと歩いていた。昨日の奴の出現でテストが無くなり特に目的のない学校へと歩いているのである。道行く人達は奴の話ばかり、何をそんなに気にすることなのか全くもって理解が出来ない。校門を潜り、昇降口で靴を脱ぐ、上履きに履き替えるとポケットに手を入れ、教室へと歩いた。廊下でも奴の話ばかり聞こえてくる。よく飽きないものだなと話してる人を滑稽に思えてきたところで教室へと入った。挨拶してくる友人に適当な言葉を返しながら席に着く。友人の一人が前の席に座り、高揚したように話し始めた。

「なぁ。奴どうなるんだろうな。」

こいつも奴の話か。

「さぁ、世界が滅びるんじゃないのか。」

「縁起でもないこと言うなよ。お前が言うと本当になりそうだわ。」

「少なくとも良い道は辿らないことは馬鹿でも理解出来てるだろ。」

「そりゃーまぁ。」

友人は奴の話をなかったかのように昨日のテレビの話をし始めた。高校生の興味なんてこんなものだなと頭で理解したが、この先のことを話したくない気持ちはよく伝わってきた。ほとんどの人々がそうだろう。奴のことを口には出すが、この先のことは話さない。知りたくないし、理解したくもないのだろう。世界は滅亡しようとしているというどうしようもない事実を理解したくないのだろう。

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