第2章 突撃隣の(少し縮んだ)モフモフさん
やはりモフモフ回になってしまいました…
このままではリュードが僧侶からトリマーになってしまう…
「だーかーらー!妾も此奴みたいにツヤツヤのモフモフにするのじゃ!」
噛みつかんばかりに詰め寄ってくるリルフェさん
扉を吹き飛ばす攻撃的な行動とこの要求の間にあまりのギャップを感じてしまい更に困惑してしまう
「リュードさんすみません…止めはしたんですぅ」
申し訳なさそうにコボルトさんが頭を下げる
「いえ、謝らなくてもいいんですが…正直なところ良いんですか?コボルトさんの上司で忠臣六槍と言ったら狼王フェンリルですよね?そんな身分の高い存在が人間からブラッシングされるとか大丈夫なんですか?」
「そうなんですよねぇ…下の子たちに示し尽きませんし」
「む~!良いからするのじゃ!ずるいのじゃ!ずるいのじゃ!」
地団太を踏むリルフェさん
何というか精神年齢が低くなってません?
「リルフェ様…素が出てしまってます」
「ハッ!…わぅ~…」
「どういう事です?」
シュンとしてしまったリルフェさん…いや、よく見ると背丈も縮んでいないだろうか
「実はリルフェ様は襲名されたばかりなんです。先代様がつい最近急に隠居なされまして、リルフェ様が後継に選ばれたのです。」
「成るほど、では先程の姿と話し方は?」
「少しでも威厳を出すための演技ですね~ 私たちはほほえましく見ているのですが~」
「わぅ~…う~…」
顏を真っ赤にしてぷるぷる震えているリルフェさん
目は涙で潤んでしまっている
「ぐすっ…わらわだって好きでやってるんじゃ無いのじゃ…お父さまが急に'隠居するから後はよろしく~'なんて言うからこんなことになってしまったのじゃ…襲名するまではお母さまが毛づくろいしてくれてたのに襲名と同時にお父さまと旅行に出かけてしまったのじゃ…輩下の者共は恐れ多いなんていってしてくれないし…ヒトである其方ならと思ったのじゃぁ…ぐすっ…うわ~ん!」
恥ずかしさとご両親に会えない寂しさから遂にリルフェさんが泣き出してしまった
コボルトさんが宥めようとするが、泣き止む気配は無い
魔族とはいえ幼子(?)が泣いているのを傍観する事は出来ずつい言ってしまった
「やりましょうか?ブラッシング」
ぐずっていたリルフェさんがおずおずとこちらを見上げる
「…ほんとぉ…?」
「はい。私でよろしければ。」
「うむ!うむ!よろしく頼むのじゃ!」
満開の花のような笑顔を見せるとリルフェさんは先程のふたまわりほど小さい真っ白なモフモフに姿を変えた
尻尾はちぎれんばかりに振られている
「では、失礼します」
「わぅ!わぅ!」
こうしてコボルトさんに引き続きリルフェさんもツヤツヤのモフモフになったのである
ここまで読んでいただいてありがとうございます
結局モフモフでした
リュードトリマー説がこれ以上強くなる前に話を進めたいと思います…