夢見がちヒーローは凡人の夢を見る
世界には二種類の人がいる。
塩素の匂い……プールの後の気だるさ……
幸せなな時間……
「俺には……」
バンッと黒板を叩いて大声を出した。
「二宮!!!寝るな!!!授業を聞け!!!」
そんなことを言っても……無理な、、、
俺の記憶はそこで途切れた。
「ユキ!!!遊ぼう!!!授業終わったよ?」
俺に近づいて来たのは可愛い女の子……では、無いな……
「ユキじゃねぇからな?てか、木村……学校では女装をしないとか先生と言ってなかったか?」
クルッと回ってニコッと笑って言った。
「でも、可愛いでしょ?」
確かに……一歩、間違えれば変な男に付きまとわれるレベルの可愛さだ。
「お前……」と言った瞬間、、、誰もいない教室に先生が入ってきた。
ビクッと驚いた様子を見せた。
「お前らまだいるのか……木村は元の服装にしなさい。帰る時には職員室に鍵を返すように……」
と言いながら先生は教室を出ると木村健一は手を出して言った。
「ユキちゃん!!!帰ろ!?」
俺は重い腰を上げた。帰ろうと思って立ち上がった。もちろん、手は握らないで……
「健一!!!帰るぞ!!!」
ムスッと頬を膨らませて言った。
「ユキちゃん!!!僕は桜!!!言ったよね!!!それにたまに、名前で言うのやめてって」
教室から出た。
健一を置いて……
「置いてかないでよー!!!」
木村健一こと紅音桜は女も羨む可愛さを持っている。
男の娘という者だ。
「ユキは西宮さんのこと知ってる?黒髪乱しの美人狼の『西宮夢子』さんのこと……」
健一から言われて思い出す。
確か女子バスケ部の部長であり問題児
「お前が美人って言うのは珍しいなぁ……」
俺の顔を見て『ニヤり』と口角を上げて上目遣いで話した。
「だって、彼女の異名だからね……黒髪乱しの美人狼、僕は彼女のことなんてどうでもいいけど……お前はそろそろ、気にしないといけないんじゃないかな?去年スポーツ大会でたまたま、優勝したお前は西宮夢子が相当狙ってる……と思うよ?ユキくん?」
そう言えば……本当の意味での木村健一を見せるのは久しぶりだ。
紅音 桜 と 木村 健一 は違う者なのだと……