モンスターによる死因は生命保険の対象ですか?
2 X世紀
医療技術の進歩・正確な災害の予知が実現され、エネルギーや貧困の問題も解決した。
平均寿命は150歳を超え、人は滅多に死ななくなった。
それにより毎月の基本料数百円でどんな死亡理由でも多額の保険金の支払いが支払われるのが当たり前になった世界。
これはそんな世界で保険会社を経営するこの俺、保田 険の物語である……
険「自伝の書き出しとしてはこんなものか、これは長編大作の予感がするぞ」
誰も居ない社長室で俺は1人自伝小説を書きながら自画自賛していた。
社長室と呼んではいるが、社員は俺一名のみの零細企業。
というかAIも20世紀とは比べ物にならないほどに進歩しており、ウチの会社では作業の大部分をAIに任せているから人手など必要が無い。
なので社長の俺の仕事も会社の方針の決定ぐらいしかやる事が無い、要するにヒマなのだ。
険「AI、生命保険の契約件数は何件になった?」
AI「本日新たに7件獲得しましたので、今我が社の契約件数は9,785件です」
険「1万件まで後少か、地域密着でやってきたから毎月300円の契約が大半とはいえ月商にすれば約300万……人件費は俺だけだし、AIの初期投資を引いても運用利益が見込めるようになってきたな」
AI「集めた保険金の運用についてはワタクシにお任せください」
険「ハッハッハ、安全に運用してもらう為に高いソフトウェアを入れたんだから当たり前だ」
やはりAI活用による人件費の削減は間違っていなかった、そう内心ほくそ笑んでいると突如ビィーーというけたたましい音が鳴り響いた。
険「な、なんだ?このうるさい音は?」
AI「警報と呼ばれるシステムです。緊急時に政府が鳴らす物ですが鳴ったのは実に113年ぶりですね」
険「警報と言うのか、って緊急時?いったい何があったんだ?」
AI「政府の発表によりますと、先程この世界が異世界と繋がって異世界からモンスターが出現したそうです」
険「モンスター…?」
AI「どうやらモンスターの主食は人類のようです、よかったワタクシAIで」
険「ちょ、ちょっと待て、今何て言った?」
AI「AIで良かったと」
険「違う!その前だ」
AI「モンスターの主食は人類です」
険「なんだって〜〜!?」
これはそんな世界で保険会社を経営するこの俺、保田 険の物語である……