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悪魔のおくすり屋さん  作者: とまとまと
6/16

第6話 1人と3羽の仁義なき?戦い

ミカルはキッチンで朝ご飯を作っていた。


ガシャーン!!!


アネモネがお皿を持ったままコケる…

額をさすりながら半べそをかくアネモネ。

思わず笑うミカル。



いつものように村の人達が薬を買いに来る。


「あれ?アネモネ戻ってきたのかい?」


「…この村が恋しくて帰ってきたくなったそうです。」


「そうかい、おかえり。」



アネモネが笑顔でうなずく。



隣のおばさんもやって来た。


「アネモネ!よく帰ってきたね!」


アネモネを抱きしめる。



隣のおばさんとお昼を食べて昼からミカルは薬の調合。アネモネは庭で鳥や小動物と遊んでいた。

平穏な日々が過ぎていく…春が過ぎ、夏になろうとしていた…



朝、ニワトリ小屋の前。

アネモネが深呼吸する。

覚悟を決めて小屋の鍵を外す。

開けた途端に3羽のニワトリが一斉に飛び出す!!

慌てるアネモネの周りをニワトリが走る回る。


アネモネが逃げる。

ニワトリが追いかける。

オス1羽とメス2羽が羽をバタバタさせながら走る。


庭を走り回る1人と3羽…



「……またやってるよ。」


家の中から見ているミカルが呆れた顔で言った。

アネモネにニワトリの世話を任せたのだが毎朝、ニワトリがアネモネを追いかけ回す。


「…まったく、仲がいいのか悪いのか…」


追い回す割にクチバシでつついたりして怪我をさせたりはしない。…遊んでいる?……からかっている?……謎だ。



「先生、咳止めの薬が欲しいんだけど…」

村人がやって来た。


「はい、咳止めの薬ですね。」



走り疲れて庭で倒れるアネモネ。

ニワトリがアネモネの上に乗る。

少し休憩した後に小屋の掃除をして餌と水を入れ替える。

その間もニワトリはアネモネにちょっかいを出す。



毎日、同じことを繰り返す1人と3羽。




アスタロトも呆れた顔でながめる。


「よく、飽きずにやってるな…」



アネモネがアスタロトに気づきじっと見る。



だって追いかけてくるんだもん!

半べそで訴えるアネモネ。



「……おかしな娘だ。」



あれから妖精たちがたまにやってくるが妖精王や女王は出てこない。

アネモネはミカルとうまく暮らしている。

……これでいい。

今度こそは失敗したくはないからな……。



アネモネがアスタロトをじっと見る。


どうしてミカルのまわりをうろうろしてるの?


アスタロトがアネモネを見る…


「………気まぐれだ。」



アネモネがじっと見る。


「……悪魔にも色々事情があるんだよ。お前は知らない方がいい……………分かったよ。また近いうちに説明してやる。」


じっと見るアネモネの視線に負けたアスタロト。



「…まったく、勘のいい娘だ。カルミアみたいだな…」



カルミア?ミカルの育ての親…だよね?



「そうだ。ミカルを育てた女だ。」





「アネモネー、お昼だよー。」


ミカルが声をかけた。


「今日も追いかけられたね。」


頭に乗っているニワトリの羽を取りながらミカルが言った。


アネモネがうなづく。

お昼のパスタを食べる2人。


「昼から市場に買い物に行こうか?」


アネモネがうなずく。


「何か欲しいものある?」


アネモネが考える。

欲しいもの…今のところは大丈夫かな。


首を横に振る。


「…そっか、欲しいものあったら言ってね。」


うなずくアネモネ。



お昼を食べ終えて出かける2人。

小さな村だが市場がある。



「…あら。先生こんにちは。今日は2人で来たのね。」


「こんにちは。」



「アネモネ、りんごあげる」


果物屋さんのおばさんがリンゴをアネモネに渡した。笑顔で受け取る。


「ありがとうございます。」


「いいんだよ。先生にはいつもお世話になってるからね。」



ミカルは小麦粉や牛乳、ハム…いろんな食材を買った。


「さぁ、帰ろうか。」



2人で家まで歩く。

アネモネが来てから生活が一変した。

1人の時はずっと家にこもって、ただ時間が過ぎるのを待っていた。


アネモネが微笑む。


その顔を見るだけで心が落ち着く…。

なぜ落ち着くのか分からない…不思議な感覚だな。




夜、アネモネの部屋。


ベッドの中で考える…


悪魔は合理的で利己的。あなたがどんなに思っても彼に人間のような愛という感情はないわ…


女王に言われた言葉を思い出す。

どんなに思ってもミカルには届かない…

今、楽しく過ごす日々も彼にとってどう思っているのか分からない。


一緒にいて欲しい…そう言ってくれたのは愛情ではない、、


分かっている。見返りなど求めていない…


でも一緒にいたい。

自分で決めた…

あとどのくらい一緒にいれるかは分からないけど…


胸が苦しい…

これが人を好きになるということ…

彼に届いてはいないけど…


それでも………



アネモネは目を閉じる。




カーテンからの日差しで目を覚ます。

今日も一日が始まる。


よし、今日こそすんなりと小屋の掃除をするぞ!

ニワトリ小屋の前で深呼吸する。

鍵を開ける前からニワトリの目が光っていた。


「!!!」


狙われてる…

いつも通り、追いかけられるアネモネ。




「…また、やってるよ。」


ミカルが呆れながらも微笑む。

その後ろでフワフワ浮かぶアスタロト。

背中を向けたままミカルが言う。


「……いい加減、ぼくにまとわりついている理由を教えてくれないか?」


「……なんの事だ?」


「とぼけるなよ。」


「………鈍感なお前でも、気づいたか…」


そう言うとアスタロトが消えた。


「……また、はぐらかしたな。何なんだ、アイツは。」



小屋の掃除が終わってアネモネが家に入ってきた。


「終わったかい?………汗かいてるよ。」


ミカルがタオルでアネモネの汗を拭く。ミカルをじっと見るアネモネ。声を出さずに唇を動かす。



どうして、ミカルは汗かいてないの?



「…動いてないからね。それに悪魔に体温の変化はおきないよ。………触ってみる?」



ミカルの頬に触ってみる…


つめたい!?


驚くアネモネ。


「体温下げてみた。」


微笑むミカル。


体温下げれるの?!


さらに驚くアネモネ。


アネモネを抱えて自分の頬をアネモネの頬にひっつけた。


「涼しくなった?」


アネモネの頬が真っ赤に染まる。


「あれ?赤くなった?…どうして?」


アネモネの顔をのぞき込むミカル。ますます顔を赤くするアネモネ。


「…前にも真っ赤になってたよね?……どうして?」



…どうしててって言われても………




「また、若い娘をいじめているな、ミカル。」


アスタロトが現れた。


「…いじめる?」


耳まで真っ赤になったアネモネがミカルの腕の中に倒れる。


「………大丈夫?」


不思議そうにアネモネを見る。


「…鈍感なヤツだな、お前は。」


「ぼくが鈍感?…どうして?」


意味が分からないミカル。呆れるアスタロト。



アネモネに触れると頬を真っ赤にする理由は分からない…けどアネモネに触れると温かいし落ち着く…何故だろう。

腕の中のアネモネを見つめる…。




アネモネが目を覚ますとソファーに座るミカルの膝の上だった。


!!


アネモネが驚いて後ろに下がる。


「あっ、起きた。…お昼にしようか?」


ドキドキしながらもうなずく。

ミカルは自分に近づいても何とも思ってない……。

胸が苦しい…分かっているはずなのに…。

彼に愛情はないのだと……






「先生、お薬ください。」


村では少ない若い娘がやって来た。


「ああ、おばあちゃんの薬を取りにきたんだね。少し待ってね。」


「先生、これおばあちゃんが渡して下さいって…」


若い娘がかごに入ったマフィンを差し出した。


「ありがとう。」


若い娘を見て気づく。アネモネより少し年上の女の子だな、この子なら顔を赤くする理由分かるかも?


「そうだ。君くらいの年頃の女の子が顔を赤くする理由は何かな?」


「…顔を赤く?……恥ずかしい時ですね。あとは………好きな人の前にいる時かなぁ?…どうしてそんな事、聞くんですか?」


「ちょっとね。ありがとう。…これおばあちゃんの薬だよ。」


「…ありがとうございます。」



恥ずかしい時と好きな人の前にいる時……

…恥ずかしい?……あの時アネモネは恥ずかしかったのか?

………?あと、好きな人の前?


………好きってなんだ?


うーん、分からない…頭を抱えるミカル。





「アスタロト、…好きってなんだ?」


アスタロトが無表情のまま固まる……


「…………は?………それを俺に聞くのか?」


「ボクより永く生きてるだろ?」


「たしかにお前より永く生きてるが……知るわけないだろ?」


「…やっぱり、分からないか……人間って不思議な生き物だなぁ、、、」



アスタロトが無表情のまま黙る。





次の日の朝もアネモネがニワトリに追いかけられる。

1人と3羽の追いかけっこ。

それを見て微笑むミカル。



「…!…くっ………。」


ミカルが片膝をついて苦しそうにする。

…またか、最近、多いな。

人間に化けているからかな…

たまに力のコントロールがきかない。




アスタロトがミカルをじっと見ていた。



つづく




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