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悪魔のおくすり屋さん  作者: とまとまと
10/16

第10話 ひとりの時間…

冬の寒い朝。


1人で朝食を食べるミカル。

食べ終わると薬の調合をする。

アネモネの葬儀を終わらせて1週間ほどたった。



隣のおばさんが自分の家の庭からミカルの家を眺める。


「…まさか、こんな事になるなんてね。あんな小さな子が…」


涙を拭う。


「…歳とると涙もろくなるねぇ。思い出しただけで涙がでるよ。」





いつも通り村人が薬を買いに来る。


「…先生、少し休んでもいいんだよ。」


「…ありがとうございます。仕事をしていた方が落ち着くので…」


「…無理しないようにね。薬、ありがとう」



笑顔で対応するミカル。



薬屋をやめて悪魔らしく自由に生きるのも悪くないなと思ったけど…


必ず帰るってアネモネが言ってたしな…

もう少しここにいてもいいかな。




アスタロトは相変わらずミカルのまわりをフワフワしていた。

他に何か考えないとな。

……その時の為に。




「アスタロト……ぼくの魔力はあとどれ位で全部、解放されるんだ?」


「……さぁな。」


「…どうして、ぼくの魔力を封じた?」


「……………… 」



「どうして…」



「……お前が昔、やらかしたからだ。」



「え?」



「もう少しで世界の均衡が崩れる所だった……お前の魔力が全て解放された時、お前の昔の記憶も戻ってくる。」



「記憶も?」



「…ああ。今度はやらかすなよ…」





……世界の均衡?


……ぼくは何をしたんだ?





コンコン


「先生。お父さんのお薬、貰いにきました。」



村で数少ない若い娘がやって来た。



「ああ、酒屋の娘さんだね。すぐに用意するね。」




「……先生!…あの、わ、私でよかったら……お、お手伝いしましょうか?」



「?…何の手伝い…かな?」



「あ、あの、薬草取りに行ったり、部屋の掃除したり、な、何でもします!」



「……えっとー、、」



どうしようか?

別に手伝いなんかいらないけど……断ったら…まずいのかな?




「……いいんじゃないか?手伝ってもらえば。」


アスタロトが無表情で言う。

若い娘にはアスタロトの声は聞こえていない。

別に…いらないけど……断る理由もないし、まぁいっか。



「……じゃあ、お願いしようかな?」



若い娘が喜ぶ。



「ありがとうございます!明日から来てもいいですか?」



え?明日?…急だな…



「……うん、いいよ。」



薬を貰うと喜んで帰って行った。

……あの子、名前なんて言うんだっけ?




次の朝、娘はやって来た。


「おはようございます!」


「おはよう。」


朝から元気だな…。



「お掃除しますね!先生はお仕事しててください。」


「ありがとう、、助かるよ。」


ミカルは薬の調合をする。娘は掃除をしている。



「先生、お庭の掃除してきますね。あとニワトリ小屋の掃除も。」



ニワトリ小屋……


「……うん、、、ありがとう。」


娘がニワトリ小屋を開けるとニワトリ達は普通に出てきて大人しくしていた。



「…………。」


ミカルがその様子を見ていた。

ニワトリ達はアネモネと遊んでいたんだな…

娘は掃除を終わらせて昼食もつくってくれた。



「どうですか?、先生、お口に合いますか?」


「…美味しいよ。ありがとう。」



アネモネもスープを作ってくれたな…。

昼食を食べ終えると娘が話しかけてきた。



「薬草の仕分けとか、手伝えること…ありますか?」


「…じゃあ、…その袋に入っている薬草の茎をとって貰っていいかな?」



ミカルの隣で娘が作業する。

………なんだろ?

……居心地が……悪い?

よく分からないけど…違和感があるな。



「せ、先生は…どんな女性が、こ、好みですか?」


「え?………好みの女性………?」



うーん、好み?女の人で?…………どういう意味だ?

……………アネモネに触れると温かったな…



「…………………温かい…人…かな?」


「…温かい?優しい人ってことですか?」



「…そういう事になるのかな?」


何が聞きたいんだこの子は?



「先生。私、あ、明日も来てもいいですか?」


「……うん、いいよ、、」


断る理由もないしな……


次の日もその次の日も娘はやって来て掃除をしたり調合の手伝いをしてくれた。




夜、ソファーで横になるミカルがいた。


「……疲れた…。」


「どうした?いつも通りだろ?何も疲れる事はしてない」


アスタロトが言う。



「…まぁ掃除や雑用、手伝ってもらってるけど……」



「元気でいい娘じゃないか…」



「……なんだろ?手伝ってもらってるのに…あの子がいると落ち着かないし、、なんか疲れる…」



アネモネはよくコケてお皿を割るし

料理もあまり出来ないし

背が低いから窓拭きも高いところは出来ない。

踏み台から落ちて怪我したこともあったな…

やけど、すり傷…けがの手当ていっぱいしたな…

……正直、ひとりでやるより手間がかかる。


……あの子はなんでも出来る。

手間はまったくかからない。



「……でも疲れる…また明日も来るって言ってた…」



ため息がでる。



「…おかしなヤツだな。あの娘の方がなんでも出来るのに…」



アネモネがいた時は普段より手間がかかっていたのに疲れたなんて言ったことなかったぞ。

やはりアネモネでないといけないのか?

…しかしアネモネは妖精の国

……戻ってくるとは言っていたが。








妖精の国。


大きな光の中で眠るアネモネ。


「…なんで悪魔なんがいいんだ?」


「ほんとねぇ、どうしてかしら?でも生まれ変わったら悪魔の事も忘れるわ。これでみんなで仲良く暮らせるわね。」


「…そうだな。忘れてしまえばもうあの家に行くこともないだろう」



妖精王と女王が笑顔で顔を見合わせる。









「…では先生。明日も来ますね。さようなら。」


「…ありがとう。」


ソファーで横になるミカル。


「…今日も疲れたー。」


明日も…いつまで来るんだ?……あの子。



次の日。


「先生。2階の部屋も掃除していいですか?」


2階の部屋…アネモネの部屋……


「……いや、2階の部屋はそのままでいいよ。」



「あ、あの…先生は……アネモネの事………どう思って…たんですか?」



アネモネの事?……どう思ってたんだろ?

……人間でいうとぼくの見た目は20代の男…アネモネは12歳

…年の離れた妹ってところかな?


「……妹?……かな?」



…そう答えるのがきっと正解なんだろうな。



「そ、そうですよね。すいません、変な事聞いて…」


娘は少し嬉しそうな顔で言った。

…何が聞きたかったんだろ、この子は?





「…先生。また明日来ますね。さようなら…」



「……ごめんね。…もう来なくていいよ。悪いし、お家の手伝いもあるだろ?」


「いえ、た、大変じゃないです!私が来たくて来てるので……大丈夫です。」



娘が頬を赤くする。

……あれ?顔が赤い

………アネモネと同じだ。



「…先生、あ、あの、私…」



たしか顔が赤くなるのは恥ずかしい時と

好きな人の前にいる時………



「先生が好きです!!」



………好き?ぼくが?……アクマナノニ?

この子はぼくの本当の姿を知らない…


アネモネは知っててもそばにいてくれた…

どんな姿でも怖がらなかった…



……ミカル………だいすき………



………アネモネ。




「……………ありがとう。気持ちは嬉しいけど…君のことは好きになれない…ごめんね。」



「……す、すいません、急にこんな事を言って……さようなら」



娘は帰って行った。




「……モテるな、色男」


アスタロトが言う。


「………どうでもいいよ。」



ソファーで横になるミカル。


…これでもう来ないだろうな。


………よかった。



「……疲れた。」




つづく


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