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映し鏡  作者: あなぐらグラム
本編
4/10

許されざる者

 明日も更新あります!

「そ、それ――」

「それは本当なのですかっ、姉上!」

 ニコライ。あなた、殿下がお話しようとしているのに…。

「答えてください!何故、僻地になどっ」

 これは話を聞くまで落ち着きそうにありませんわね。ちらりと視線を移せば陛下も了承して下さっているようですし…。

「……ええ、事実です。私は僻地にて蟄居をし、以後表に出てくるつもりはありませんでした」

「…どうして」

「それが罪を犯した者が取るべき末路です。……安心してください。母上はあなたが立派に次の当主として成長するまでは王都に滞在なさるそうですから」

 本当は、母上も私と一緒に僻地へと赴き修道院へ入るつもりだったようですが、それは私が止めました。今まで次期侯爵として教育こそ受けていましたが、主だった仕事は当主代理の母上と代理補佐の私がやってきました。それが、何の前触れもなく一人でこなさなければならなくなればウェラー侯爵家はせっかく立て直したのに潰れてしまいます。

 今まで冷たく当たっていた私がいなくなるだけならばともかく、母上がいなくなればその理由を探りたくなるのは明白ですしね。本当に良くも悪くも純真に育ったものです。


「そ、そんな……」

 事実を知って崩れ落ちるニコライ。でも、これはそんなものでは済みませんよ?あなたたちはとんでもないことをしでかしたのですから。


「――さて」

 静まった空気を再び張り詰めるために小さく呟かれた陛下のお言葉で同じようにショックを受けていた殿下がビクッと反応しました。さすがにそれなりの教育を受けていただけあってことの重大さに遅まきながら気付いたということでしょうか。

「ハイドリヒ、ここまでの話を聞いたうえで問おう。――この話の中の矛盾はどこだ?」

 こればかりは親から子ではなく、王として臣下へ問い質すような口調へと変貌したお言葉。これに嘘偽りや至らぬ答えを返せば殿下の将来は暗雲の中に消えることとなるでしょう。

 それがわかっているからこそ、殿下もこれまでのように即座に返答することが出来ず視線を右往左往させています。

 殿下同様に取り巻きと化していた方々も数人が気付き始めているようですが、助け舟を出すことはありません。もしも、ここで助け舟を出せばどうなるかわかっているからです。

 ……わかっていないのは、渦中のど真ん中にいるはずの彼女だけ。嵐は自分が起こしている分には被害が見えず、中心である自分が原因だと言われても気付けないものです。しかし、彼女は嵐ではなくむしろあちこちに火種を設置していつ火がつくのかを見ているようなもの。それで気付けませんでしたという言い訳はさすがに虫が良すぎると思いますよ?


「む、むじゅ、矛盾…点、は………」

 周囲からの重圧に耐えかねてようやく殿下が口を開かれるようですね。

「………アウラ、です」

 絞り出すような言葉に周囲が当然だと言わんばかりに頷き、陛下もそれに対して何もおっしゃらない中ただ一人、名を呼ばれた少女だけが「…えっ?」と疑問の言葉を漏らしたのだった。


「理解できない者もおるだろうから、それについてわかるように説明をせよ」

 そうは言ってもこの場で理解できていない者などただ一人だけ。これは彼女にもわかるように――彼女の罪を説明して見せろということ。つまりは、彼女の罪を明らかにせよと。

 事実、彼女についてはどうなっても構わないとお考えらしく陛下はアウラ様に対して何の感情もお見せになられていません。息子を誑かした怒り、この国の臣下であることへの軽蔑と侮蔑など抱いていた感情を捨て去り、個人ではなく国という集合体の代表としての威厳を見せつけられておられます。


 ここまで言われれば殿下に拒否権などなく――元々ないとも言えるが、追い詰められ蒼白になりながらも愛した女性の罪を暴露していくことになりました。

 この話を読んでおや?と思った方もおられるかもしれませんが、明日の更新ですべてわかると思いますのでお楽しみに。とりあえず次は若干のざまあ展開を予定しております?

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