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【詩集】拙くも進もうとする試み

作者: につき

 夜のアスファルトが雨に濡れている――亀裂となって長い蛇が這う。

 毎日蛇は行きたいところへ辿り着くために、少しずつあるいは大胆にその身を伸ばす。

 コンクリートの壁に遮られたならどうするのか――その時には、口惜しさに身を捩り、やがて決意してその身を収縮させた後、一気に壁へ体当たりをする。何度も何度も体当たりをする。

 彼女が行きたいところとは――つまり子の許であって、命を懸けてそうする。そうせざるを得ない。身の内に巣食う愛情という炎に焼かれ、身悶えしながらそうする。

 蛇は悲しまないから、真っ直ぐなのだ。余計な詮索なしに、一直線に目指す許へ進む。そうやって進むから、きっと辿り着く。待っている子の許へと辿り着き、共に丸くなり喜びを絡め取るだろう。

 読んで頂いてありがとうございます。

 夜、雨が降っていて、アスファルトが黒く濡れていました。亀裂が走っていました。蛇のように走っていましたから、どこへ行くのだろうと思いました。思いを遂げようとすると、何か障壁が立ちふさがることがあります。わたしなどは、時に任せてそのままにしておくことしか出来ません。しかし、純粋な蛇ならば、真っ直ぐにぶつかっていくのではないかと思います。そのようなエネルギーは、詩作の上でも同様で、いい詩を書きたいと思いながら、この蛇のように毎日進むことは叶わないのです。だからこそ、蛇のようにありたいと思いますが、そうはならない日々が延々と続いています。いつか越えて行きたい壁でもあります。

追記)

蛇を含め爬虫類には感情が無いそうです。つまり悲しみもない。ただ欲求の赴くままに生きているそうです。蛇は真っ直ぐだと書いたのは、そういう意味からでした。

夜の雨に濡れたアスファルトの路面には、不思議な艶がありました。そこから感じた詩です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 雨に濡れた暗い亀裂は、言われてみると蛇のように見えますね。 子を思う気持ちを悲しみとはとらえず、まっすぐに向かっていく様子をただ表現しているところが、黒猫さんの詩らしくて好きです。 最後は…
[良い点] 「蛇は悲しまないから、真っ直ぐなのだ。」  くねくねと動く蛇とは矛盾する表現を用いるのが不思議にも思えましたが、詩に込めた想いの強さの顕れと受け止めました。
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