殺し屋と少女K 2
こんにちは。楓です!
今日はお姉ちゃんの帰りが遅いと言っていたので、イソウロウのお兄ちゃんと家に帰っています。
お兄ちゃんは背も高くて、イケメンです。
でも、朝から元気がありません。
お兄ちゃんが迎えに来たとき、靖晴兄ちゃんがいつもと違う笑顔を浮かべていました。
それにお兄ちゃんはカチンと固まっていました。
もしかして、靖晴兄ちゃんと何かあったのかな?
気になります!
なので、聞いてみることにします!
「お兄ちゃん」
「・・・ん?」
あ、間がありました。
「靖晴兄ちゃんと何かあったの?」
「・・・。何でそんなこと聞くんだ?」
やっぱり間があります。
何かがあったようです。
「だって、元気ないから・・・」
「・・・」
お兄ちゃんが自分の額に手を置いて、ため息を吐いています。
なにか楓は悪いことを言ったかな・・・。
「何もないよ。ただ、お腹が空いただけ」
お兄ちゃんが疲れたような笑顔を浮かべました。
何もないって言ってるけど、絶対何かありましたね。
楓の勘はよく当たるのです。
「ふぅーん」
とりあえず、明日靖晴兄ちゃんに聞いてみることにします。
色々考えていたらお腹が空きました。
家におやつあったかな〜?
「・・・はあ」
「ただいま〜」
家に着きました。
いつもはお姉ちゃんと一緒だから寂しくはなかったけど、今日は違います。
家に誰もいません。
少し寂しいです。でも、今日はお兄ちゃんがいます。
昨日、お姉ちゃんと一緒に迎えに来ました。
楓はそれが昨日からずっと気になっています。
なので、お兄ちゃんをおやつを食べながら質問攻めにすることにします!
「お兄ちゃん、おやつあったけど食べる?」
「食べる」
お兄ちゃんの顔が変わりました。
食べ物が好きなのかな?
あ、おやつがいつもより高いところにある。
戒兄ぃだな。
もう、届かないよ。
「あと、もう、ちょっと・・・」
精一杯背伸びして、手を伸ばしておやつをとろうとするけど、あと少し届かない。
むう。
ジャンプすればとれるかな?
「ほっ・・・とやっ・・・ぎゃっ!」
届きませんでした。
それに転んじゃいました。
うぅ、痛いよ~。
「これ?」
痛いところを撫でていると、お兄ちゃんがおやつをとってくれました。
体が痛くて返事が出来ないので、こくりとうなずくだけをしました。
「どっか、体打ったか?」
お兄ちゃんが屈んで、聞いてきました。
結構優しいお兄ちゃんなのかもしれません。
でも、楓は女です。
弱気なんて見せません。
この前見たテレビで言ってました。
『女は男に弱いところなんか見せちゃいけないのよ!』って。
「大丈夫!」
お兄ちゃんに笑いかければ、微笑み返してくれました。
靖晴兄ちゃんよりもかっこいいです。
お兄ちゃんと一緒におやつを持って、リビングに向かいました。
リビングにはいつの間にかおじさんがいます。
このおじさんもお姉ちゃんと一緒にいた人です。
いつ、家に入ってきたんだろ?
「よお、お嬢ちゃん」
「お嬢ちゃんじゃありません。楓です」
「お、ガキでも女だな」
おじさんが大きな声で笑っています。
うるさいです。
楓はおじさんから一番遠いところに座って、おやつを食べます。
なんかおじさんが不服そうに見てきました。
「・・・なあ、烏」
「なんだ」
「俺、楓に嫌われてんのか?」
「そうなんじゃないか? 加齢臭とかするんじゃないの」
「おいおい、これでも殺し屋だぞ。無臭のはずだ無臭の」
おじさんがなぜか自分のにおいをかぎ始めました。
そういえば、このおじさんは園長先生みたいなカレーのにおいがしません。
なんでだろ?
あ!
おじさんがいたんじゃお兄ちゃんを質問攻めできない!
またのときにします・・・。
それにしても、お姉ちゃんのつくるおやつはおいしすぎます。
このココナッツの味がたまりません。
お姉ちゃんのつくる食べ物はみんなおいしいです。
いつか、お姉ちゃんみたいになれるかな。
「楓」
「なに?」
「このおやつって何? 見たことないんだけど・・・」
「これはね。えっと・・・」
「カノムクロック。タイのお菓子ですよ」
リビングの入り口のほうを見ると、朔兄ぃと戒兄ぃがいます。
あれ、綾兄ぃがいない。
「おかえり~。今日はいつもより早いね」
「ただいま。今日はバイトもないし、学校途中で抜けてきたんだよ」
「つか、腹減ったんだけど。楓、それまだある?」
「戒兄ぃ、おやつ置く場所間違えたでしょ。楓届かなかったんだよ!」
「悪ぃ悪ぃ」
戒兄ぃが困ったように笑う。
まったく。
「それで、なんで学校を抜けてきたんだ?」
「あなたがいるからに決まってるでしょう?」
「・・・」
「あんたを信用するつもりは毛の先程も思ってねえからな。梓はあんたを信用してるみたいだが」
戒兄ぃと朔兄ぃがお兄ちゃんとにらみ合ってます。
仲が悪いのかな・・・。
「あなたに楓を預けるのは危険だと僕たちは判断した。それだけです」
「それに楓に何かあろうもんなら・・・な?」
「なるほど、納得だ。お前らまでオレを信用するようなら、業界から消してやろうと思ってたんだ。良かった。梓ちゃんが泣かなくて済みそうだ」
お兄ちゃんが戒兄ぃと朔兄ぃを楽しそうに見ています。
何が楽しいんだろ。
「てめっ・・・」
「戒兄ぃ、うるさい!」
「ごめ・・・」
「今おやつ食べてるの! おとなしくしてよ」
「すみません。・・・なあ、朔斗」
「ん?」
「最近、楓が梓に似てきてないか?」
「そうだね。楓にとって梓は母親代わりみたいなもんだし、仕方がないんじゃない?」
「・・・はあ」
なんかわかんないけど、お兄ちゃんと戒兄ぃたちが仲悪いのがわかりました。
あとで、お姉ちゃんに聞いてみよう。
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