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なぞ

作者: 佐賀かおり
掲載日:2026/09/23

申し訳ありません。この作品はSFがお好きな方に楽しんで頂けるかと思い、宣伝の為に短編でSFのジャンルに投稿致します。次回から『オチがある短い話』の中に新作を投稿しますのでよろしくお願い致します。


 タケオ少年は小学校から帰ってくると目を輝かせて言った。


「ママ、今日、社会科の授業で邪馬台国(やまたいこく)の勉強をしたよ」

「あら、そうなの。ママも少しは知ってるわよ。卑弥呼(ひみこ)がいた所でしょ」

「うん、でもね、邪馬台国がどこにあったのか、はっきりとは分かっていないんだ」

「そうなの」

「うん」


 タケオ少年は力強く誓った。


「僕、学者になる。そして多くの学者たちがいくら研究しても分からなかった謎(なぞ)を解き明かすんだ」

「すごいじゃない、立派な学者になるのね」

「うん、立派な学者になる」


 そして四十年後。


「とうとう完成しましたね。教授」科学者は完成した電話を見ながら言った。

「すべては君のお陰だよ」教授となったタケオは科学者に言った。

「僕は謎を解明したい、と言う貴方の熱意に感動して力になりたいと思っただけです」

「今までありがとう」


 二人は固い握手を交わした。


 タケオは子供の頃からの夢であった歴史学者になり、ずっと邪馬台国の場所を研究してきた。

 だが、どうしても謎は解明できない。

 やがて大学の教授となったタケオに転機が訪れる。

 科学者との出会いであった。


 科学者は言った。

「研究中のタイムマシンの技術を活用して、過去と通話できる電話を作りましょう。そして卑弥呼に電話して直接、場所を聞き出すのです」


 科学者と二人三脚で歩み続けたこの十年。

 科学と歴史という分野の違いや年齢の差を飛び越えて、今では強い信頼関係で結ばれている。

 

「では明日、最後の微調整をした後に……卑弥呼に電話しましょう」科学者は言った。

「ああ、では明日」


 科学者は帰って行った。


 一人になったタケオは部屋のカギをかけた。

 明日、卑弥呼に電話をかける。


 だがそれよりも先に、何よりも先に電話をかけたい人間がタケオにはいた。


 ふと、母の言葉を思い出した。

『すごいじゃない、立派な学者になるのね』

 タケオは苦笑して呟(つぶや)いた。


「ごめん、母さん。立派な学者にはなれそうもない」


 ずっと多くの者たちが研究しても解明されなかった謎がある。


 それを今、こっそりと解明するのだ。


 そしてその後……この謎は永遠に謎のままになる。

 もう誰にも、この謎を解くことは出来なくなる。


 それは歴史学者として許されない行為だ。


 だが……

 

 タケオは受話器を手にし、耳にあてがった。


 ザー、ツー、ザー、ツー


 雑音が聞こえていたが不意に途切れると、

 受話器の向こうから男の声が聞こえてきた。


 タケオは言った。


「もしもし、徳川慶喜(よしのぶ)か? 埋蔵金(まいぞうきん)、徳川家の埋蔵金のありかを教えてほしい」


 数分後。


 タケオはスコップを手に部屋を後にした。


 



 


 

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