なぞ
申し訳ありません。この作品はSFがお好きな方に楽しんで頂けるかと思い、宣伝の為に短編でSFのジャンルに投稿致します。次回から『オチがある短い話』の中に新作を投稿しますのでよろしくお願い致します。
タケオ少年は小学校から帰ってくると目を輝かせて言った。
「ママ、今日、社会科の授業で邪馬台国の勉強をしたよ」
「あら、そうなの。ママも少しは知ってるわよ。卑弥呼がいた所でしょ」
「うん、でもね、邪馬台国がどこにあったのか、はっきりとは分かっていないんだ」
「そうなの」
「うん」
タケオ少年は力強く誓った。
「僕、学者になる。そして多くの学者たちがいくら研究しても分からなかった謎を解き明かすんだ」
「すごいじゃない、立派な学者になるのね」
「うん、立派な学者になる」
そして四十年後。
「とうとう完成しましたね。教授」科学者は完成した電話を見ながら言った。
「すべては君のお陰だよ」教授となったタケオは科学者に言った。
「僕は謎を解明したい、と言う貴方の熱意に感動して力になりたいと思っただけです」
「今までありがとう」
二人は固い握手を交わした。
タケオは子供の頃からの夢であった歴史学者になり、ずっと邪馬台国の場所を研究してきた。
だが、どうしても謎は解明できない。
やがて大学の教授となったタケオに転機が訪れる。
科学者との出会いであった。
科学者は言った。
「研究中のタイムマシンの技術を活用して、過去と通話できる電話を作りましょう。そして卑弥呼に電話して直接、場所を聞き出すのです」
科学者と二人三脚で歩み続けたこの十年。
科学と歴史という分野の違いや年齢の差を飛び越えて、今では強い信頼関係で結ばれている。
「では明日、最後の微調整をした後に……卑弥呼に電話しましょう」科学者は言った。
「ああ、では明日」
科学者は帰って行った。
一人になったタケオは部屋のカギをかけた。
明日、卑弥呼に電話をかける。
だがそれよりも先に、何よりも先に電話をかけたい人間がタケオにはいた。
ふと、母の言葉を思い出した。
『すごいじゃない、立派な学者になるのね』
タケオは苦笑して呟いた。
「ごめん、母さん。立派な学者にはなれそうもない」
ずっと多くの者たちが研究しても解明されなかった謎がある。
それを今、こっそりと解明するのだ。
そしてその後……この謎は永遠に謎のままになる。
もう誰にも、この謎を解くことは出来なくなる。
それは歴史学者として許されない行為だ。
だが……
タケオは受話器を手にし、耳にあてがった。
ザー、ツー、ザー、ツー
雑音が聞こえていたが不意に途切れると、
受話器の向こうから男の声が聞こえてきた。
タケオは言った。
「もしもし、徳川慶喜か? 埋蔵金、徳川家の埋蔵金のありかを教えてほしい」
数分後。
タケオはスコップを手に部屋を後にした。




