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それぞれの職業

高校生活が始まって3日目。

冒険者をする許可を取った私たちは、登録のためにギルドにやってきた。


「おー…ここがギルドなんだね?」

「みたいだな。…思ったよりも役所っぽいな」

「だね〜?」

「……コクッ」


ギルドは思っていたよりも小さく、そして役所みたいだ。

市役所、というよりは地区支所って感じ。

まあ、ここみたいな田舎のギルドなんてこんなものなんだろう。


外観なんてどうでもいい。

中に入って受付に行くと、学校の許可証を取り出した。


「登録をお願いします!」

「かしこまりました。こちらの書類に記入をお願いします」


4人分の紙が渡され、そこにある様々な項目にチェックを付けていく。

項目はかなり多く、用紙5枚分もある。

根気強く全ての項目にチェックを入れると、ようやくスタートライン。

面接を受け、身体測定とか、スポーツ測定とか色々受けた。

今日が土曜日じゃなければ、もう外は真っ暗になってただろうね。


そんな長い長い審査を受け、後日結果が……なんてことはなく、その場で採用が決まる。

その結果は…見事全員合格!

私たちは晴れて冒険者になれた。


「いや〜!何事もなく全員合格で良かったね〜」

「ホントだよ〜。私すっごく緊張したよ?ここで落とされちゃったらミライちゃんになんて言おう、って」

「まあ、余程性格に問題があるとかでもないと落ちない試験だ。怖がることもなかったな」

「……コクッ」


みんなで話しながらギルドを出て、すぐ隣にある明らかに場違いな建物に入る。

周囲は普通の街なのに、その建物だけ…まるで西洋の遺跡みたいだ。

ここがダンジョン。

正確にはダンジョンの入り口だ。

建物の真ん中に行けばダンジョンに入れるが…そのまま行くと間違いなく大失敗する。

ダンジョンに入る前に絶対にやらないといけないことがあるからね。


「ここだね。じゃあ私からやるよ」


建物の奥の部屋。

そこには石製のオブジェがポツンと置かれている。

側面のよく見えない部分まで凝った装飾がされたそれには、明らかに『ここに手を置いてください』というマークがある。

それに手を置くと、石製のオブジェが輝き、その光が私の中に入ってくる。

何かはよくわからないけど、何かが全身を駆け巡るのを感じた。

そして、石製のオブジェの手を置く部分の少し上にある細長い開口部から、大きめのスマホくらいのサイズの板が出てくる。


「コレがステータスプレート」


そう、これはステータスプレートと呼ばれるもの。

私と連動していて、私の強さをステータスとして可視化してくれるモノだ。

内容については、全員で確認しよう。


「次は誰がする?言っておくけど、私まだ見てないから、みんなも見ないでね?」

「じゃあ私がやる〜。良いのが出ますように…」


私の次にステータスプレートを取りに行ったのはカナタちゃん。

私と同じようにオブジェに手を置き、ステータスプレートを回収した。

次はキラリちゃん。そして最後にユウちゃんの順番でステータスプレートを手に入れた。


私たちは一旦邪魔にならない場所に移動する。


「「せーの!」」


そこでお互いステータスプレートを見せ合った。

私とカナタちゃんの声かけでひっくり返したステータスプレートの内容はこうだ。


―――――――――――――――――――

広田未来

種族 人間

職業 魔法使い

レベル1


HP 75/75

MP 100/100

筋力 20

防御 15

魔力 30

防魔 20

素早さ 15


スキル 『炎魔法Lv1』

ポイント1

―――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

細川輝良理

種族 人間

職業 錬金術師

レベル1


HP 50/50

MP 100/100

筋力 15

防御 15

魔力 30

防魔 15

素早さ 15


スキル 『薬錬成Lv1』

ポイント1

―――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

大橋優羽

種族 人間

職業 回復術師

レベル1


HP 50/50

MP 100/100

筋力 10

防御 15

魔力 30

防魔 15

素早さ 15


スキル 『回復魔法Lv1』

ポイント1

―――――――――――――――――――

―――――――――――――――――――

西寺叶多

種族 人間

職業 斥候

レベル1


HP 75/75

MP 100/100

筋力 20

防御 15

魔力 10

防魔 15

素早さ 20


スキル 『弓術Lv1』『探知Lv1』

ポイント1

―――――――――――――――――――


見せあった私たちのステータスはこんなものだった。

私が魔法使い、キラリちゃんが錬金術師、ユウちゃんが回復術師、カナタちゃんが斥候。

この組み合わせが良いか悪いかと聞かれると…


「…前衛が居ないな。大丈夫なのか?」

「見事に後衛職しかいない…どうしよ?」


全員後衛職という…なんとも隙の多い組み合わせ。

職業ガチャは大外れと言っていい。


「誰が前衛するんだ?やれそうな奴がいないが…」


キラリちゃんの言葉にみんな黙り込む。

う~ん…立候補者はいないね。

…この状況はマズイ。

私にとって非常によろしくない。


「じゃあ私が前衛やるよ!」

「ミライは魔法使いだろ?やれるのか?」

「他に居ないなら、リーダーであり言い出しっぺの私がやるべきでしょ?」

「いつからリーダーになったんだよ…」


逆にこの雰囲気で私がリーダーじゃないことがあるかな?

というか、私が集めて作ったパーティーなんだから、当然リーダーは私だ。


「一応聞くけど、私と一緒に前衛やりたい人いる?」

「「「………」」」

「だよね~…」


私がやると言ってもみんなの気持ちは変えられなかった。

なら、あんまりやりたくないけど私がやるしかない。

このまま職業ガチャ大失敗を理由にこのパーティーが解散する事態は避けたいからね。


ということで、このパーティーは前衛1人後衛3人の少しアンバランスなパーティーになった。

というか、私がそもそも本来後衛職だから少し所かかなりアンバランスかつ、ハイリスクなパーティーだ。

けれどこればっかりは仕方ない。

どんな職業が割り当てられるかを事前に予測することは難しい。

小さいころから剣道をやってました、とかなら剣士が割てられる可能性が高いらしいけど…それでも確実ではない。

なにせ、あのオブジェがその人の素質を読み取って最適な職を当てるからね。

予測するには一回すべての職業に該当する訓練を受けて、向き不向きを把握しないとわからないし。


そんな話は置いておくとして、職業が決まった今ようやく私たちが使う装備を選べる。

一旦ギルドに戻り、初心者用の装備を借りに行く。

どのギルドでも初心者用の装備が一通り準備されていて、それを借りることができる。


「私はこれだね。革のグローブ!」

「拳で戦うのか…?」

「剣なんて持てないし、短剣とかナイフを選ぶくらいならもう拳でよくない?」

「槍とかでいいだろ。間合いを取りやすくて怪我しにくいらしいぞ」

「怪我したらユウちゃんに治してもらえばいいんだよ。ね?ユウちゃん!」

「え……コクッ」


私が選んだのは革製のグローブ。

ボクシンググローブよりも薄く、直接殴って手の表面が傷つくのを抑えるくらいの効果しかない。

けど、付けないよりはマシだ。

そんな私にケチをつけてくるキラリちゃんの装備は本。


「錬金本だっけ?うわっ、ホントに謎の言語が書いてある」

「見た目だけだ。未だにこの言語は解読されてないし、杖と同じ効果だから杖でもいいんだがな…まあ、こっちの方が専用の装備だし、何となくこっちにした」


錬金術師専用の装備。

良い物は錬金術を使う時に必須レベルらしいけど…今のキラリちゃんには魔法の杖を使うのとそう変わらない。

けどまあ、使い心地は装備が変わった時のために大切だから、初めから本でもいいはず。


さて、次はユウちゃんだけど…ユウちゃんは自分の背丈よりも長い杖を持っている。


「すっごいね。大変じゃない?」

「大丈夫……」


長い柄の先端には太陽を模した装飾がされており、初期装備にしては立派だ。

…ただ、小柄なユウちゃんには使いづらそうで心配。


「ねえねえ見て見てミライちゃん!」

「おっ!様になってるね、カナタちゃん!」

「でしょ~?でも、弓矢なんて使ったことないから、ちゃんと使えるか心配…」


カナタちゃんが選んだ装備は言うまでもなく弓矢。

弓術のスキルがあるからね。

カナタちゃんはうまく使えるか心配してるけど、スキルあるから心配はいらないだろう。

それより心配すべきは…


「…弓引いて射るときに弦で胸をやられるって話よく聞くが、大丈夫か?」

「大丈夫でしょ…みんな革製のチェストアーマーつけてるし」

「ずるい…」


もはや凶器レベルの胸が弦でやられないか心配…

一応全員安全のためにチェストアーマーをつけているとはいえ…


「あ、あれ…?上手く着られないんだけど…」

「…これ以上大きいのはないね。サラシを巻いてもらうことになるけどいい?」

「うぅ…なんて多様性に配慮できてないギルドなんだ…」

「この田舎でこんな奴らが来るとは思わねぇだろ…」


…うん、サラシを巻いてもらわないとそもそもチェストアーマーがつけられないわ。

とても高校生とは思えないね…


そんな想定外のハプニングもあったけど…とりあえず全員分の装備が準備できた。

ギルドを出てもう一度ダンジョンの入り口になっている建物に戻ってくると…建物の真ん中にある魔法陣が描かれた台座に登る。


すると台座が輝き、強い光が放たれ視界が真っ白になった。

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