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第9話「洞窟の核心と最初の選択の代償」

巻物を握った桐生は、洞窟の奥へ一歩踏み出した。石の床がひんやりと冷たく、滴る水の音が静寂を引き立てる。


凪は擦り傷を手でさすりながらも、元気な声を振り絞る。

「桐生くん、大丈夫だよ!私、痛くないし!」

だが、その瞳には、ほんのわずかな不安が隠れていた。


葵は桐生の隣に立ち、淡青の瞳で巻物を見つめる。

「……桐生くん、この情報をどう扱うつもり?」

桐生は地図と紙片を握り直す。

「慎重に進む。全部を一度に明かすわけにはいかない。でも、行動で示すしかない」


三人は奥へ進むと、広間の先で小さな穴を見つけた。紙片に記された通り、その先にさらに洞窟が続いている。


桐生が一歩踏み出すと、岩が崩れ、微かな振動が通路全体に広がった。凪は思わず手を伸ばす。


「桐生くん!」

桐生は凪の手を取り、もう一歩踏み込む。

だがその瞬間、足元の岩が大きく崩れ、凪が膝を打ち、痛みに顔を歪めた。


「……ごめん!」桐生は咄嗟に謝る。

凪は笑顔を作ろうとしたが、涙が滲む。

「……大丈夫、桐生くん。でも……ちょっと、怖かったよ」


葵は二人を見つめ、淡青の瞳が鋭く光る。

「……桐生くん、あなたの判断は、守るつもりでも犠牲を生むことがあるわね」


桐生は地面に手をつき、深く息をつく。

――善意の嘘で守ったつもりでも、選択の代償は確実に訪れる。


広間の奥には、微かに輝く石と古代文字が刻まれた台座があった。父の手がかりはここで最も核心に迫る。

桐生は巻物を台座に置き、目を閉じる。


「……俺たちは、まだ序章にすぎない」

凪は手を握り返し、笑顔を見せるが、痛みで少し震えていた。

葵は淡青の瞳で桐生を見つめ、静かにうなずく。


洞窟の奥、暗闇の中で、鷹宮の影がゆっくりと動く。

――まだ誰も、彼らの未来の選択がどれほど大きな波紋を生むかは知らない。


桐生は巻物を握り直し、決意を胸に刻む。

――善意も、嘘も、選択の代償には変えられない。

だが、仲間を守るために進むしかない。


洞窟の核心に差し込む光が、三人の影を長く伸ばした。

そしてその先には、誰も予想できない運命が待ち受けていた。


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