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第8話「洞窟の奥の真実と小さな犠牲の影」

洞窟の奥に広がる小さな広間。壁に刻まれた古代文字と、微かに光る宝石のような石――父の残した手がかりが、三人を迎え入れる。


桐生は紙片を握り直す。狭い通路を選んだことで、凪を危険から守れた一方、情報をぼかした嘘が小さな混乱を生んでいることを感じていた。


「……ここで何が待っているんだろう」桐生は心の中でつぶやく。


凪は興奮気味に広間を見渡す。

「わあ、すごい!キラキラしてる!」

だが、岩に足を置いた瞬間、微かな崩落音が響いた。凪の手が滑り、岩の角に小さな擦り傷を負う。血は少量で、命の危険はない。しかし、凪の顔は一瞬歪み、痛みに眉をしかめた。


「……大丈夫?」桐生はすぐに駆け寄り、手を握る。

「う、うん……でも、びっくりした……」凪は小さくうなずき、すぐに笑顔を作ろうとする。


葵は淡青の瞳で二人を見つめる。

「……桐生くん、あなたが全部話していないから、こういうことになるのよ」

桐生は言葉を返せず、深く息を吐く。


広間の奥にある石の台座に、古代文字の刻まれた巻物が置かれているのが見えた。桐生が近づくと、微かな風が巻物を揺らし、石の光が瞬く。


「……これが父さんの残した真実か」桐生は声を潜めた。

巻物には、徳川埋蔵金の位置と、発見した場合の危険性が記されていた。

――善意で隠した小さな嘘は、仲間を守る一方で、未来の選択を複雑にする。


凪は傷を気にしながらも笑顔を見せる。

「桐生くん、でも私たち、一緒に来てよかったよね?」

桐生は微笑む。

「うん……でも、これから先はもっと慎重に行かないと」


葵は小さく頷く。

「小さな犠牲も、これからの選択の影響の一部……私たちはまだ、何も知らない」


広間の壁に映る三人の影は揺れ、洞窟の奥では微かに誰かの視線が光った。黒髪と赤茶色の瞳――鷹宮の影が、まだ遠くから彼らを見守っている。


桐生は巻物を握り、心の奥で決意する。

――善意の嘘は、小さな守りにしかならない。しかし、この先の選択で何を守り、何を失うかは、自分たち自身が決めるしかない。


洞窟の奥の暗闇に、次の試練が静かに待ち構えていた。


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