表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/23

第6話「洞窟の試練と最初の小さな犠牲」

洞窟の奥に足を踏み入れた三人は、ひんやりとした空気に包まれていた。湿った岩肌から滴る水の音が、静寂の中で響く。


「……思ったより狭いな」桐生はつぶやき、手に握った紙片をぎゅっと握る。


葵は銀色の髪を肩にかけ、淡青の瞳で周囲を慎重に観察した。

「油断はできないわ。光が届かない場所には、必ず何かが潜んでいる」


凪は岩を踏みながら嬉しそうに声を上げた。

「でも、ちょっとワクワクするね!桐生くん、先に行こう!」

オレンジ色の髪が光に映え、跳ねるたびに元気が伝わる。


桐生は少し躊躇した。紙片には、洞窟の奥で仲間に危険が及ぶ可能性が書かれている。しかし、凪の好奇心を止めるわけにはいかない。

「……大丈夫だと思う」

少しぼかして言う桐生の声に、わずかな迷いが含まれていた。


三人が狭い通路を進むと、突然、足場が崩れた。凪の足が滑り、岩の隙間に落ちそうになる。


「わっ!」凪の声に桐生は咄嗟に手を伸ばした。

「危ない!」葵も両手を差し出す。


桐生は凪を抱き留め、ぎりぎりで転落を防いだ。しかし、岩が崩れた衝撃で、桐生は軽い擦り傷を負った。血は少量だが、手に染みる。


「桐生くん、大丈夫?」凪は驚いた顔を見せる。

「……うん、大丈夫」桐生は笑顔で答えたが、心の奥では、ぼかした情報が一歩遅れで危機を招いたことを痛感していた。


葵は淡青の瞳を細める。

「……やっぱり、全部話していないわね」

桐生は言葉を返せなかった。嘘は小さな守りにはなるが、信頼を揺るがす危険もはらむ。


通路の先には小さな広間があり、光がわずかに差し込んでいた。岩に刻まれた古い文字、そして微かに輝く宝石のような石――父の残した手がかりが静かに光を放つ。


凪は興奮した声を上げる。

「わー、すごい!桐生くん、これ、何かの宝物だよ!」

桐生は微笑む。

「そう……でも、まだ危険もある」


葵は静かに二人を見つめ、言葉を選ぶ。

「この先、選択が必要になるわ。小さな嘘でも、未来に影響する――覚えておきましょう」


三人の影が広間の壁に揺れる。洞窟の奥には、父の残した秘密と、これから起きる不可逆の事件の兆しが静かに待っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ