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第3話「旅の始まりと最初の試練」

桐生、葵、凪の三人は、町外れの小道を抜けて森の中へ入っていった。朝の光が木漏れ日となって足元を揺らす。森は静かで、しかしどこか不穏な空気を孕んでいた。


「……思ったより、静かだな」桐生は小声でつぶやく。


葵は肩にかかる銀色の髪をかき上げ、淡青の瞳で前方を見つめる。

「静かすぎるところには、必ず何かあるわ」


凪は小走りで桐生の隣に駆け寄り、笑顔を見せる。

「桐生くん、怖がってる?大丈夫、私がいるから!」

その声に安心したように、桐生は微かに笑った。オレンジ色の髪が光に映えて、まるで森に光を連れてきたかのようだった。


三人が歩いていると、突然森の奥から微かな声と揺れる影が見えた。


「……助けて……」


凪は即座に反応し、木々をかき分けながら駆けていく。桐生と葵も続く。そこに倒れていたのは、旅の途中の青年だった。血の跡はないが、足に絡まる蔓で動けなくなっていた。


桐生が手を差し伸べ、青年を助け起こす。

「大丈夫か?」


青年は肩越しに森の奥を見つめ、震える声で答えた。

「……何か、森の奥にいる……!」


葵は冷静に周囲を見渡す。

「罠ね……でも、まずは安全を確保することが先」

その瞬間、木の枝がパキリと折れ、森の奥で黒い影が動いた。


「……あれは……」桐生は思わず息を呑む。


凪は叫ぶように声を上げた。

「逃げよう!でも、置いていけない!」


三人は息を合わせ、青年を連れて森を抜ける。後ろで影が追ってくる気配。黒い髪と赤茶色の瞳――あの人物だ、桐生たちをじっと見つめていた鷹宮の影。


「……奴は、ただの偶然じゃない」葵は静かに言った。

「私たちの行く手を、ずっと見ていたのね」


桐生は地図と紙片を握り直し、決意を固めた。

「……よし、ここからが本当の旅だ。危険も、秘密も、全部受け止める」


森を抜けた先には、小川が流れ、小さな丘が広がっていた。水面には朝日が反射し、森の緊張を一瞬忘れさせる。凪は楽しそうに水面に手を入れ、笑う。

「ほら、桐生くん!やっぱり旅って楽しいじゃん!」


桐生は笑顔を返すが、手の中の紙片が微かに震えた。

――この先に、父さんの残した“見つけてはいけないもの”が待っている。


そして三人の旅は、まだ誰も予想できない方向へと進み始めるのだった。


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