第10話「洞窟の最後の試練と涙の選択」
洞窟の奥に差し込む光の中、三人は静かに息を整えていた。
巻物が指し示す場所には、父の残した最終の手がかりが隠されている。しかし、そこに至る道は一層険しく、危険が増していた。
桐生は紙片を握り、仲間の顔を見渡す。
「……ここから先は、慎重に行こう」
凪は少し笑顔を作るが、擦り傷がまだ痛む手をそっと押さえた。
「うん……でも、私も行く!」
オレンジ色の髪が光に映え、微かに揺れる。
葵は淡青の瞳を鋭く光らせ、桐生に視線を送る。
「桐生くん……あなた、全部話していない。でも、私たちは信じるしかない」
桐生は頷く。善意の嘘は、仲間を守るための最善の策だった。だが、嘘の代償がどこまで広がるかはまだわからない。
狭い通路を進むと、足元の岩が大きく崩れ、凪が再び危険に晒される。桐生は瞬時に手を伸ばした。
「凪!」
葵も支えに入り、三人で必死に体勢を立て直す。凪は小さく息を吐き、目に涙を浮かべながら微笑む。
「桐生くん……ありがとう……怖かったけど、でも、私、信じてるよ」
桐生の胸に熱いものが込み上げた。善意で守った結果、仲間は危険に直面した。しかし、その信頼は揺らぐことなく、逆に強く結びついた。
そして三人は、ついに洞窟の最深部にたどり着く。
そこには、微かに光る石と、古代文字の刻まれた台座――父の最終の手がかりがあった。
桐生は巻物を台座に置き、指で文字をなぞる。
――徳川埋蔵金の秘密、そしてそれを発見した場合の未来への代償。
凪は手を握り、桐生の肩に寄り添う。
「桐生くん……どんな選択でも、私たちは一緒だよ」
葵は淡青の瞳で二人を見つめ、静かに微笑む。
「……どんな困難でも、私たちは乗り越えられる。桐生くん、あなたの判断を信じる」
桐生は深く息をつき、心の中で決意する。
――善意の嘘も、選択の代償も、すべて自分たちの手で背負うしかない。
そして、仲間を守るために、どんな困難にも立ち向かう。
洞窟の暗闇に、三人の影が長く伸びる。外の光は、彼らが進むべき未来を柔らかく照らしていた。
その瞬間、奥の影が微かに動く。黒髪と赤茶色の瞳――鷹宮の影が、洞窟の暗闇からじっと三人を見つめていた。
――まだ、この旅は終わらない。
善意と選択、信頼と犠牲、未来への代償――すべてが、これからの物語を大きく揺るがす。




