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⑤流行りのジャンルを分析しよう 〜追放ざまぁ系〜

どの小説投稿サイトにも一定の人気、需要を備えた作品というものが存在する。

一時期であれば異世界転生や、一昔前でいうと追放ものがそれに該当する。


近年のトレンドを知りたければランキングに目を通し、上位作品や全体の傾向から何が注目されているのか見ればいい。


ただし、漠然と作品を楽しんで眺めていては何も変わらない。

人気になる作品には必ず理由がある。


ここでは一昔前のジャンルである「追放系」を軸に具体的に説明していこう。


まず前提として私の知識は既に大幅にその時から時間が経過しており、今の流行などとは全く異なるということで、これに従えば100%人気になるということではないというのをご理解いただきたい。


むしろ100%これをやれば人気になるというものなど誰も示さないしそんなもの存在しないだろう。


仮にあったとしてもすぐに全員が同じようなことをやり出して結果飽和して廃れることになるだろう。


なので、ここでは飽くまでも一例として紹介し、どう応用すればいいかについて説明していく。



さて、なろう系といえば最早異世界転生

異世界転移、与えられた超絶パワーを異世界でふるってハーレムを築き上げる。

というのがステレオタイプとして存在するだろうが、それすら最近では圧倒的に古い。

というのもアニメ化や書籍化した人気作品というのはこのサイトである程度連載し人気を博してから世に出ることになるので、サイト内のトレンドと世間との認知のズレが生じるからだ。

そんな中、当時新たなトレンドとして打ち出されていたのが追放系だ。


追放系とはなにか。

ざっくりいうと「お前はもうウチに必要ない」といった一言から始まり、雑用などを押し付けられていた主人公がパーティやら所属組織やらから追放され、主人公はうちひしがれることになるものの、実は主人公の方が圧倒的に強かったり、とんでもない才能を秘めている人間であったのだが、雇った側である追放者たちの見る目がなく、主人公の恵まれた才能を存分に発揮することのない職務を割り当てられ、理不尽かつ不当ないじめなどの対象にされ、そのせいで追放されてしまう。

が、実は深刻なのは追放された主人公ではなく追放した側の方であり、これまで実は強かった主人公に雑用を押し付けていたことで自分たちは満足にパフォーマンスを発揮していたのだが、そんな主人公を追い出してしまった途端にそれまでのパフォーマンスが発揮できなくなり、またそれまでやらせていた雑用を誰に押し付けるかなどで揉めて、結局追放した方が大きく損をする物語となっていく。

反対に追い出され自由の身になった主人公はその恵まれた才能を遺憾なく発揮していき、人を助けていくうちに、あるいは放浪の旅を続けていくうちに様々な神話生物と出会ったり大勢の人々に認められていき、やがて主人公の方が最初に所属していた組織より大きな存在になっていき、反対に追放した側は見る影もないほど落ちぶれていく。


それが「追放」かつ「ざまぁ」系である。


基本的には異世界転生系と称されるものの流れを汲み、実は「最強の主人公」が各地で「無双」していき、更に自分を追いやった相手に対してざまぁみろという感想を抱かせぎゃふんと言わせる。

これが大まかな流れである。


さて、この作風の面白さと何がウケたかについて私なりの知見を述べさせていただく。


まずは主人公をいじめ、虐げ、身勝手かつ問答無用で追放を言い渡した比較的クズのような追放者たちが自分たちの行いによって破滅していく様

そしてその対比としてどんどん良い生活を手に入れていく主人公のあり方

そのざまぁとみる過程にあるだろう

この追放系の物語におけるオチは最初からわかりきっている

主人公を追放した人たちに向けて「ざまぁ」という

そういう物語にする

逆転の物語なのだ


ここで面白いのが無能だと思われていたが、実は有能だった主人公ということを示すやり方だ。

たとえば本職が魔法使いで魔法を教えればとてつもない才能を発揮していたにも関わらず、なぜか腕っぷしのいる雑用を押し付けられていたり、魔法の類は目立ちたがりの憎まれ役追放者リーダーや追放者1号がそれを阻止し、結果主人公は自分の才能を発揮することなく終わっていくという形や、

魔力や力を測る機械がゼロを示したため無能の烙印を押されるというもの。

これはゼロではなくメーターが振り切って2周していたとか機械が測りきれないほどとてつもない力を秘めているというパターンが大半だ。

つまり主人公の本当の価値を旧世界の人間は誰1人として測れないということだ。


しかし主人公が新たに見つけた新世界においては差別も嫉妬もなく、平等かつ公平に

それでいて優秀な人間によって測られ、正当な評価を勝ち得ていくのだ。

見る目のなかった真の無能とは旧世界の人間であり、それをわからせる、それまでの鬱憤を晴らす

その痛快さを読者が求めた結果人気になったのだ。


勝手な推測にはなるが、これは現実世界における読者の実体験と重ね、追放者たちを自分の価値を認めない上司や先輩、自分にとって嫌な人間に当てはめて読むから最後の最後にぎゃふんと言わされる様がたまらないと感じるようになったのではないだろうか。

全く自分の個性や才能を発揮できない雑用を押し付けられ、結果が出せなければクビ。

そんな不条理かつ理不尽な世界に一泡吹かせてやりたい。

自分を無能だと罵った連中にそれ見たことかと言わせたい。

そんな自分の代わりに自分と似たような境遇に置かれた主人公が本来の才能を発揮し痛快な逆転劇を見せてくれる。

それが追放系の醍醐味である。


読者は才能はあるが環境に恵まれなかった自分と主人公を重ね合わせ、いつか自分も本来の才能を発揮して人に認めてもらえるようになると信じているのだ。


あるいはそんな考えが別にない人間であっても、

無能と一方的に罵ってきたフラストレーションがたまる敵役が自らの愚かさによって破滅の一途を辿るというのが、その愚かしさが愉快極まりないから楽しめる

そのために見ているという節もあるだろう。


私は過去にこれの主人公が聖女や補助魔法使いである物語を読んだことがあるが、確かに面白かったと思わされたし、実際軒並み2000ptを超える超人気作といってもいいものだった。

その両作品に共通しているものを自分なりに分析し、書き出した私の作品である「Aランクパーティーを追放された僕、する事もないのでとりあえず偶然知り合った聖女のお姉さんと楽しく冒険したり、いちゃこら生活を満喫したいと思います。〜今更戻ってきてと言われても困ります〜」は実際に結果も出せた。

というか、それまでに類を見ないほどの人気を獲得し、いかにこのジャンルの持つ強さが凄まじいかを目の当たりにした。


で、ここで重要なのは私のように追放系を選択して書くことではない。

むしろ今やっても当時と異なり最早手垢がつきまくっており、異世界転生系のように日の目を見ないのがオチだろう。


私が言いたいのは何度も言うように「流行りのジャンル」や「トレンド」を分析し、

それをいかにして自分の作品に盛り込むか

あるいはそれを目指して作るか、だ。


私は当時流行っていた「追放なろう系」を読み、

その作風が持つ「面白さを理解」し、

それを自分なりに再現してみた結果それなりに人気を獲得することに成功した、のである


流行りの作品には必ず理由がある。

そしてその面白さも必ず存在する。

それは読み進めていくうちにわかる。

というか

「あ、ここ面白い」「どんどん先を見たくなっちゃう。やばい」

となったらそれがその作品や作風の持つ面白さである。


異世界転生系、チート無双系の面白さとも通ずる点ではあるが

要するに次話へ次話へいくごとにどうなっていくのか

その化け物みたいな強さで何をしていくのか、どんな難題も常人の100分の1の速さで終わらせてしまうその規格外の強さ、その荒唐無稽さなどが読み進めたくなるポイントなのだ。

だからステータス開示などは一気に人を惹きつける。

それがとんでもない数値であればあるほど先が読みたくなる。

あるいはとんでもない能力でもいい。

そしてそのステータス・能力をもとに徐々に生活が豊かになったり、次々ととんでもないことをやっていけばもう読み進める手は止まらない。


その不思議な読者を動かす力こそなろう系、

このサイトに溢れる人気ジャンルや小説の持つ本流ではないかと私は考える。

大体の人気作品にはそのような本流が、

読み進める手を止めない先を見たくなる強烈な「何か」がある。


尤もそれがなんなのかはまだ私にもはっきりとはわからない。

だがそれがなんなのか、少しだけ見えかけてきた。


プライドを捨て、自分を捨て、

それまでの形式を捨て、

人気作品を分析する。

嫉妬や自己保身や自尊心などを抜きにして1人の読者としてその作品を評価する、

そしてその面白さを分析して自分に活かす。


オリジナルを作るのはそこからでも問題ない。


従うべきテンプレをきちんと理解する。

すると作品を書くのが楽しくて仕方なくなり、自分の努力と与えられる評価が噛み合ってくるようになるだろう。


いくら時間をかけても死んだ作品や需要のない作品を自分だけが信じ続けて書くというのはあまりにもむごい。

むごいうえに時間の無駄である。



次はどんな作品が死んだ作品と称されるのかを説明していきたいと思う。

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