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そして、エルト王子の部屋に入ると、


「こんにちは。君がツカキ王子?」


「はい!エルト王子こんにちは。エルト王子の部屋は、とても綺麗で大きくて


カッコよくて、すごいなー!」


「こんな事で『すごい』なんて言われたら、照れますね。」


「エルト王子は、褒められた事ないのですか?」


「やだなーそんな訳ないじゃないですか。」


「あっ、エルト王子ごめんなさい。」


「えっ?ツカキ王子なんで謝るのですか?」


「わ、分かりません…てっきり俺が悪いと思って。」


「そんな事ないよ。ツカキ王子は優しくてカッコよくて素晴らしい人だよ」


「エルト王子…それはお世辞ですか?それとも」


「ほんとだよ!ツカキ王子はすごい。たとえ勉強出来なかったとしても、


その優しい心は、人を惹きつける才能がある。」


ツカキは初めてここまで具体的に人に認めてもらえた。だから、


「ありがとう!エルト王子ここまで評価してくれて。」


「どういたしまして。でも、ぼくだって誰でも彼でも褒めるわけじゃない


ツカキ王子の才能だよ。」


でもツカキはさっきよりも嬉しかった。なぜなら、本当に認めて貰えた気がしたから。


「エルト王子って何歳ですか?俺は十二です。」


「ぼくは十七です。」


「そうなんだぁ俺も後五年で十七歳か。その時はエルト王子は王様ですね。


それから俺はエルト王子みたいな素敵な人になるんだ!」


「君は今も充分素敵だよ。もっと素敵になるの?やっぱ凄いね君は。」


「あの、エルト王子。俺の事はツカキって呼んで下さい。王子は要りません。」


「分かった。これからツカキって呼ぶよ。ぼくの事もエルトって呼んで。」


「分かった。エルトこれからよろしくな!」


「じゃあ、ぼくの部屋を見て回ろう!」


「広ー‼エルトの部屋まだ奥があったの⁉あれ?でも、そうしたら王様の部屋は


どんなのなんだろう?ていうか、王様誰?」


「王様はイノリ様だよ。ぼくと三年違いなんだ。」


「えっ?今二十歳なのか?そうしたら、ずっとイノリ様が王様?」


「ちがうよ…ぼくが二十二歳になったら、交代かな」


「後五年⁉エルトはやっぱすごい才能があるんだな。」


「そうなのかな…。」


「絶対そうだって!俺はいつ王様になるのだろう?」


「ぼくは知っているよ。」


「えっ⁉エルトは知っているの?」


「うん…。この力のせいで、未来が分かるんだ。良かったら教えるよ。」


「はい。ぜひ教えてください。」


「ツカキが二十歳になったらすぐになる。」


「後、五年だ。俺たち同じ年に王様になるんだ。」


「あのさ、ツカキは誕生日いつ?ぼくは十二月二十一日だよ。」


「俺も同じだ…。これって、運命みたいで。」


「そうだね。同じ年の同じ日に同時に王様になるなんて…。」


二人は何もしゃべらず一時間が経過した。そんな中、


「あのー。ツカキ様、夜なので寝た方が良いかと思いますよ。」


「あっ、すみません。ついエルトと話していたら。」


「お話が終わってからでいいですよ。」


と言って兵士は帰って行った。


「ツカキは五千年後、炎にのまれて、死ぬよ…。大事な誰かを守って死ぬなんて…。


ぼくはいつになっても死ねないのだ。死のうとしても…。」


エルトはとても苦しそうにそう言った。


「エルト…。(かわいそう)」とツカキは呟きながら思った。


「だからぼくより先に亡くなってしまう、ツカキが羨ましいって、


思っちゃったんだよ…王様になんて本当はなりたく無いんだ。


本当はずっと一般市民のままで居たかったんだ。最低だよな…。」


「エルト!その気持ち俺も分かる。だからきっと皆そうなんだと思う。


だからさ、自分を責めなくていいんだよ。」


「…ツカキは本当に優しいな。それに比べてぼくは、ぼくは…」


「大丈夫だ。エルトの苦しみを俺が受け止めるから、だからさ、自分を責めるなよ!」


「何でツカキが泣いているの?でも、その言葉、信じてみるよ。今日はもう寝よう」


「!…はいっ!あ、あの俺の事、信じてくれてありがとう。


だから俺も絶対にエルトを裏切らない。約束する。」


その日の夜二人とも幸せな気分で寝た。

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