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十時間が経ち、月の国に着いた。
そして七斗さんの城に着きインターホンを鳴らした。
「はい。」と月の国の兵士が答える。
「あっツカキです。」と言うと、
「あっそうですか。今すぐ開けます。」と言って門が開いた。
そして玄関ホールに入ると十歳くらいの男の子がやって来て、
「ツカキくんこんにちは!ぼくの名前は七斗だよ。中へどうぞ。」
と笑顔で出迎えてくれる。確かに天使のような子だ。
そしてリビングルームに来てソファーに座ると七斗くんは、
「来てくれてありがとう!えっと、ツカキくんは誰に会いに来たの?」
「七斗くんに会いに来たんです。」
「え⁉ほんと?嬉しいありがとう!良かったら泊っていく?」
「はい!喜んで。」
「ぼく七斗の自己紹介しまーす!好きなものはフルーツほとんど。本を読む事も好き!
苦手なことは、運動や勉強。でもこの国の未来のためなら頑張るよ!」
「俺はツカキ。尊敬していて大好きな人はトト兄さん。苦手なことは、
勉強。気を付けていることは誰にでも優しくする事。」
「えっ?気を付けることがそれ?優しくする事は、当たり前の事でしょ?」
七斗の言葉にツカキは居心地が悪くなる。当たり前。七斗にとってはそうなのだろう。
でも、ツカキはそれが辛くてとっさに嘘を吐いてしまう。
「あっ、そうだな。俺帰る今日はもう帰ろうと思う。よ、用事を思い出したんだ。」
「えっ?そうなの、またね!ツカキ君いつでも来てね!」
純粋で無垢な七斗は素直にツカキの嘘を信じた。
「あ、あぁ。またな。」
ツカキは七斗くんに嘘を吐いた罪悪感を持ちながら予定よりも早く帰ってきた。
「皆。ただいま。」
「ツカキ様。おかえりなさい。」
静かな兵士がぼそぼそとこう言った。
「あのツカキ様ぼく行きたい所があって、『灰色の王国』という所で…。」
「明日の朝の四時出発で良い?」
「えっ?良いのですか?」
「そりゃ良いに決まっているじゃん!君が自分から意見を言ってくれる
それだけで俺は幸せなんだからなっ!」
そんなツカキを見て静かな兵士は、
(ツカキ様、今も昔も優しい方なのだな)と思った。
次の日。「皆ー朝だよー!」と出発した。
「ねぇ皆俺の事ツカキって呼んで欲しいんだ。」
「えっ?ツカキ様そんな事。僕たちにはできません。」
「そっか。無理なら良いんだ。ただの俺のわがままだから」
そんなツカキを見て天花は、(ツカキさん、悲しそう)と思った。
そして十五時間後。
「つ、着きました。ツカキさん。」
「今俺の事『ツカキさん』って呼んでくれたのは君?」
「は、はい。そうです。」
「ありがとう!」
「いえいえ、ツカキさんの頼みだからまずは少しずつ慣れようと思って。」
「俺は君が行動にうつしてくれた事がすごく嬉しいんだ。」
「こちらこそ、そこまで言って頂いてありがとうございます!」
そして、灰色の王国に入れてもらった。
「こちらがエルト王子の部屋です。他にも色々な所があるので、好きにしてくれ。」
と言うといなくなった。