表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
低能な料理番  作者: ミツル
第四章 帝国の美魔女

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

123/177

53

 城に着いても、ノーマはプンスカモードのままだった。


「そもそもリドは朴念仁が過ぎるんですよ!今回ばかりは皇帝が可哀想過ぎます!だいたいお料理の事ばっかり考えてるからそうなるんですよ!」


 あれ、その言葉、何故か刺さってくるんですが…


「おお!イオリ!ノーマ!」

 厨房に入るとブルーノが駆け足で迫ってきた。


「お前達、リドを知らないか?ここ何日か姿が見えなくて」


 この件で俺とノーマが顔を見合わせたのは何度目だろう。


 リドめ、やっぱり何も言わずに来てたのか。

 エルブジが帰っていれば行方くらいは分かっただろうが、今はまだポラーゴ村の資金調達でオステリアに残っている。


 俺達はブルーノにリドの事を話した。


「そうか、無事でよかった…それにしてもあのバカ…クビってなんだ」


 まあ、そうだろうな。


「俺は給仕から話を聞いて、さすがにお互い気まずいんじゃないかと思って、暫く顔を合わせないようにと…」


 大方予想した通りだったが、間違いが一つある。

 リドの方には、そういう気まずさは、発生していない。


「皇帝は帰ってきてるのか?」

「ああ。なんでも体調がすぐれなかったそうで、外遊の日程を短縮して、先日お戻りになった」

 

 すぐれなかったのは、多分体調ではないんだろうなあ…


「で、ご様子はどうなんですか?」


ノーマの質問に、ブルーノは無言で下げられていたランチの皿群を指差した。


「…」


 どの皿も、申し訳程度に一口食べた跡があるだけだ。


「ずっとこの調子で…」


 なんなら直接皇帝の様子を見に行こうと思っていたが、これはもう見なくても分かる。


 こりゃまた重症な事で…


「イオリ様、どうしましょう?」

「うーん…」

「イオリ様の料理を召し上がれば、少しはお元気になられるかも…」

「そうは言ってもなあ…」


 正直なところ、俺だって苦手な分野なんだよなー。


「執務はされておられるんですか?」

「そりゃあお仕事は山積みだからな。気丈にもこなしてらっしゃるようだが…」


 責任感の強い皇帝らしいと言えばらしい。

 どうせ誰にも何にも言えないまま、胸にしまって執務をこなしているのだろう。

 確かに城にいる限り、周りの目もある。

 皇帝という立場から逃げる事など出来ない。


 中年の星は、失恋の傷心さえも胸にしまって、今日も仕事に打ち込む、と。


「まあ、実際のところは告白にさえなってないんだけどなあ…」

「イオリ様?」

「ブルーノ、今日この後の皇帝のご予定って分かるか?」

「確かいつも通りの執務で、特別なご予定はなかったと思うが…」

「そうか。すまないが今日の皇帝の夕食、キャンセルでも大丈夫か?」

「ああ。まだほとんど仕込んでないから、問題ないが…何か考えがあるのか?」

「いやー、考えって程の事でもないんだが…」

「イオリ様!」

 ノーマが期待たっぷりの瞳を浮かべた。


 そんな凄い事をしようとしてる訳じゃないんだけどな。


「ノーマ、すまないが俺をあっちまで送ってくれないか?」

「え、あ、はい。大丈夫です。けど…」

「その後もうしわけないけど、もう一往復頼みたいんだ。あとブルーノ、皇帝お付きの面々に話を通しておきたい」

「わかった…、イオリ、いったい何を企んでるんだ」

「ん〜」


 あ、自分でも分かる。俺今、結構悪い顔してる。


「ちょっと今晩、皇帝を拉致ろうと思ってな」

「え?」


 期待の瞳が、薄っすい目に代わった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ