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低能な料理番  作者: ミツル
第四章 帝国の美魔女

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「キサマみたいな奴にノーマは渡さん!明日は目にもの見せてやる!」


 ティムローは、ザコキャラの台詞で検索するとベストスリー位には出てきそうな陳腐な言葉を残して去っていった。


 目にもの見せてやるって、お前ら飯食うだけだろう…


「ありがとうございました。おかげで助かりました」

 フロントマンはそうお礼を言ってきたが、


「いや、俺達のせいで迷惑をかけました。こちらこそすみません」


 そう、原因は俺達の滞在だ。

 まあ、根本的な原因はティムロー側にあると思うが…


「騒がしい連中だったわねぇ」


 いや、もう一つの騒ぎの原因はこの小悪魔だ。


「アルページュ!どういうつもり?」


 ノーマがダッシュで迫ってきて勢いそのままアルページュに問い詰めたが、

「あら、別にいいじゃない」

と、当人は全く通常運転を崩さなかった。


「あのまま村に行ってもブドウを手に入れるのは一筋縄ではいかなかったでしょ?」


 なるほど確かにそれはそうだが…


「この勝負に勝てばあの村のブドウは私達の思いのままよ」

 

 アルページュは()()()()笑みを浮かべた。


 小悪魔とはよく言ったもんだ。


「あの、会場はこちらでご用意させて頂きます。調理場もうちの厨房をお使いください」


 フロントマンの申し出で、いよいよ舞台が揃ってきた。


「絶対に負けないでよ!」

「あら、私とイオリを信じられないの?」

「そんな事ないけど…」


 ノーマは申し訳なさそうに俺を伺ってきた。


 まあ、アルページュが壇場に乗ってきた時点でなんとなく腹は括っていた。


「大丈夫だ。ノーマには指一本触れさせない」


 俺の精一杯格好つけたセリフに、ノーマは嬉しそうに頷いた。


「それで、イオリ様はどんなメニューをお作りになるおつもりなのですか?」

 

 エルブジがしれっと会話に入ってきた。


 今まで何処に隠れてたんだ?


「ブドウで作る料理なんだから、スイーツでしょ?」

ラサイも入ってきた。


「いや…」

 

 俺の否定と同時に、アルページュも首を横に振った。


「あいつらのガタイ見ただろう。全員若い男だし。あれがスイーツで満足できるたまか?」


 アルページュがうんうんと頷いた。


「私はディナー、て言ったわけだから、しっかりとしたメインじゃないとダメよ」


 アルページュがじっとりと見上げてきた。


『さあ、考えて』その目がそう言っている。


 一回その目を睨み返してから、考えてを巡らせた。


 男子となるとやっぱり肉料理、だよなあ…彼等は普段農作業をしているわけだから、毎日の食事も素朴でボリューム重視のものが中心だとして…待てよ、ティムローのあの感じは意識高い系の筈だ…手の込んだ見た目も考慮した品のが受けはいいかも…それにしてもそれにブドウを絡めるとなると…うーん…


「難しいですか?」

ノーマが心配そうに聞いてきた。


 顔に出てたか…


「朝採れのブドウを即届けるとか言ってたから、きっと最高の香りよお!」

 ラサイの目がハートになっている。

 

 あ、この子も美味しい物に目がないくちかあ…


 香り、ねえ…


「私袋がけしたブドウの袋をとった時の香りが大好きで!」

「あ、それ私もわかる。その場で食べたくなるよね」

「いや、それはノーマだけだよ」

「そんなあ」


 袋がけ…どんだけでかい袋なんだよ…


 …あ…


「…思いついた」


「お!」

「ふふ!」

「え?」

「♡!」


 その言葉に、全員が注目してきた。


「だとしたら、エルブジ!」

 要件を耳打ちすると、エルブジは直ぐに右手で◯を作った。

「今皇帝は外遊中ですので全然大丈夫です」


「よし!後は食材だが…」

「すみません、流石に食材まで使ってしまうとコック達が」


 もちろんそれは重々承知だ。俺だって怒る。


「必要な物は言ってくだされば、私がご用意致します!」


 さすが鏡フロントマン!


「それはありがたい!それならそうだな…まずは豚…ポレイリのいい肉が手に入れば欲しいな…」


「それなら丁度良かったです!」


 フロントマンは顔を明るくした。


「この先に広がるドゥオー砂漠は、ポレイリの一大生息地なんですよ!」


 砂漠が?生息地?




 

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