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一条兼定なんて・・・(泣)  作者: レベル低下中
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四国の要塞化に着手する

 さて、昨秋の戦以来、様々な手を打って一条家の軍事力を強化してきたが、これからは戦をしない代わりに格上にも負けない防御態勢を構築する必要がある。


 このため、追加の策を講じるが、これを心、内、外、大外の四つに分けることにした。


 心とは、家臣や領民の人心掌握である。

 領民に対しては、一条家の施策に対する喧伝活動により、手懐けることとし、家臣に対しては、城主以上の子息を元服直後に集め、学校教育を施すことにした。

 科目は朱子学である。以前、吉良氏が周防から南村梅軒を招聘し、朱子学を土佐に広めたが、同じ事を再度行うのである。

 儒教は上位者絶対の思想なので、これをすり込むことで「武士は死ぬことと覚えてもらう」のだ。


 内とは経済政策や街道を始めとする基盤整備である。

 戦は金が物を言うし、災害の多い四国では治山治水などは必須だ。

 また、寡兵の四国兵を効率的に運用するための街道整備も欠かせない。


 外は単純な兵力増強である。これは装備の充実や訓練、兵農分離が主たる政策だ。


 大外は、外交を含む外からの圧力に対する策である。

 理想は、「誰も四国を攻めようなどとは思わない」状態である。

 これには従前から行ってきた海賊弱体化も含まれる。



「こうして見てみますと、政の意味が分かりやすいですなあ。」

「その通りじゃ。一つの策は、どこかで他の策と繋がっておることも分かるでの。意味が分かるとやる気も違ってくるぞよ。」

「そうですな。百姓が新たな田を開くのも、ただ採れる米が増えるというだけでは無いということでございますな。」

「皆がそう理解すれば、国は豊かになり、強くなるぞよ。そして、そういう功の成し方もあることを知れば、槍働きが苦手な者も腐らずに働くぞよ。」


「確かに巧みな経営術でございますな。それで、学問所はどうやって人を集めますかな。」

「城主以上の者については、一族の戸籍を整備して、学問所に集めるべき者を一元的に把握するぞよ。今まで年貢を取っておったのなら、こういうことは役人に任せれば、すぐにできるじゃろう。」

「確かにそうでございまするな。」


「内なる策に街道整備とありまするが、これは敵も使えるのではございませんか。」

「そこは工夫するぞよ。麿も白地しか知らぬが、あの土佐街道の難所はそのまま残す。そして、城の上流側、つまり土佐側のみ間道を整備して白地城に繋げる。こうすれば、敵は使いにくく、我が軍は大量の兵を送り込める。また、城についても、今の白地の城地の下に兵が集結できる広い郭を造る。そして裏手の山全てを曲輪とし、大筒を伊予街道に撃ち込めるように付け替え、馬路川の対岸は全て田やため池にしてしまえば、敵の進路を限定できる。そういった工夫を各所に凝らすのじゃ。」


「確かに、鳥坂や阿讃の山越え、伊予と讃岐境、大坂越、由岐坂など、敵の進軍を妨害できそうな場所はたくさんございますな。」

「敵を蟻地獄に誘い込むようなものじゃ。たとえこちらの兵数が少なくとも、消耗戦に持ち込み、最後に勝てばよいのでおじゃる。」


「他にも策はあるのでございましょう?」

「廃城予定の城や峠に狼煙台を作ることや、城を壊した後も再利用できぬよう、堅堀を壊したり、木を植えるなどは必要じゃ。城も石垣、白壁を多用し、鉄砲や大筒が城内で使える工夫もする。城は大きくなり、金も掛かる。自然と数は減る。」

「そして、足軽を増やすのですな。」

「そうじゃ。百姓が畑仕事を、足軽には槍や鉄砲の扱いを、それぞれが分担した方が強いのは言うまでも無い。そしてこれは水軍でも同じじゃ。」


「大外は今まで通りでよろしいですかな。」

「そうじゃのう。まだ日生衆、真鍋衆、塩飽衆がこちらに靡いておらぬゆえ、まだ完全な形では無いが、少なくとも三好はこちらに攻め込むことができぬ状態にはなっていると思うぞよ。」

「大体の大枠については理解できました。本土に攻めるにしても、まず守りがしっかりしていないといけませんし、攻めないとしても、当家より格上の相手に負けないことは重要ですので、これを皆に周知したいと存じます。」

「特に気になる所は無いかの?」

「はい。これらを進めた上で、なお足りない所を補完していけばよろしいかと。」

「うむ、では頼んだぞよ。」



『よく分からぬが、伝えておいたぞよ。』

『このくらい、分かれよ・・・』

『最近、三十字以上、言えるようになったではおじゃらぬか。』

『随分、大事な所が抜けていたが?』

『宗珊は分かったと言っておったぞよ。』

『それは宗珊が凄いのだ。』


『だいたい、そちの説明はいつも長い。もう少し端的に話してくれんとのう・・・』

『これからは書にしたためるから、それを読むか?』

『それでは神懸かりの存在価値が無くなるぞよ。麿に対する尊敬の眼差しが無くなるのは嫌でおじゃる。』

『なら覚えろよ。』

『麿にばかり要求しないで、悪霊がもっと上手に喋れるようになれば良いではおじゃらぬか。』


 コイツ、精神年齢も7だ・・・


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